JLL日本法人・河西社長が大阪で事業拡大表明、物流施設も対応拡充へ

JLL日本法人・河西社長が大阪で事業拡大表明、物流施設も対応拡充へ

専門の担当配置、福岡にも関心

米系不動産サービス大手ジョーンズ ラング ラサール(JLL)日本法人の河西利信社長は11月27日、東京都内で記者会見し、2020年の経営戦略などについて説明した。

この中で、20年に日本で注力する施策の一環として、大阪中心部でオフィスビルの開発が活発なことなどを考慮し、首都圏に加えて関西のマーケットで不動産関連サービスの規模拡大を図る考えを強調。物流施設についても需要が引き続き旺盛とみて対応を拡充していく方針を示した。また、日本の売り上げを今後5年程度で現状から2倍に増やしたいとの決意を明言した。


20年の経営戦略などを説明する河西社長

河西社長は大阪を核とした関西の不動産市場を展望する中で、「(首都圏と同じく)大阪市場でも大きな物流施設の開設が相次いでいる。今後とも大阪のマーケットを中心に開発は進むと考えている」と予測。

05年に設立した大阪市の関西支社に関し、人員の規模を現在の約50人から19年は約20人増やすとともに、新たに物流の専門家を配置したことを明らかにした。1年後には120人まで増やすことを視野に入れている。

また、顧客企業のサプライチェーン(SC)やロジスティクスの改善に関するコンサルティングについても、東京本社に加えて今後は関西支社でも積極的にカバーしていきたいとの意向をにじませた。

河西社長は「SCコンサルティングは非常に(顧客企業の)経営に近いところで、世界的な物流網をどう展開するかや、日本の中でどこにどれくらいの規模の物流施設を置けば一番効率的な配送ができるかといった、非常にハイレベルなコンサルティングをしている。日本の中では競合は少ない。提案を実行できるチームも社内に存在している」との自負をのぞかせた。

このほか、03年にオフィスを立ち上げた福岡でも、空港や港湾が博多中心部に近いことなどに言及した上で「不動産市場が非常に成長している。物流施設は非常にコンパクト(なエリア)にまとまっている」などと語り、各種サービスを強化していくことに意欲を見せた。

東京五輪後も市場の基礎的条件は変わらず

会見に同席したJLL日本法人テクノロジー データ&インフォメーションマネージメントの金子志宗ビジネステクロノジー ディレクターは、不動産関連の諸業務をITで効率化、付加価値を高める「不動産テック」への取り組み状況を解説。建物内を360度見渡せる画像を使い、現地に行かなくても内覧できる「360 Tour」、IoT(モノのインターネット)を生かしてオフィスのスペースがどの程度実際に使われているかを正確に把握し、今後必要な増床スペースの検討などに生かす「IoTアナリティクス」といった利用方法を紹介した。「IoTアナリティクス」は現在、4社が利用しているという。

リサーチ事業部の大東雄人ディレクターは、20年の東京オリンピック・パラリンピックが日本の不動産マーケットに及ぼす影響をめぐり「五輪後にファンダメンタルズ(基礎的条件)が大きく変わることはないのではないか。市場は健全に推移している」と分析。

その上で、来年に予定されている米大統領選挙の結果が及ぼす影響の方をより注視していると明かした。併せて、現状は国内外の投資家が物流施設に投資する意欲は引き続き旺盛で、物件の価格上昇に伴い利回り水準の低下が続いているとの見解を示した。


会見に出席した(左から)河西社長、金子氏、大東氏※クリックで拡大
(藤原秀行)

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