鮮魚類など想定か、青函トンネルのスピードアップ狙い
JR北海道は、旅客列車の空きスペースで貨物を運ぶ「貨客混載」を北海道新幹線で実施する検討を進めている。現状では佐川急便と連携し、青函トンネルを挟んだ北海道の新函館北斗駅と青森の新青森駅間で輸送の実証実験を行うことを想定しており、両社の思惑が一致した場合、早ければ2020年内に実施、コスト負担や輸送の効率性などを見極める見通しだ。
JR北海道としては旅客列車の有効活用につなげるとともに、貨物輸送の一部を新幹線に移すことで、貨物列車との共用走行区間になっている青函トンネル内で北海道新幹線のスピードアップを図る狙いがある。まずは素早い配送が求められる鮮魚類などが輸送の候補となりそうだ。
JR北海道は北海道新幹線を札幌まで延伸するのと併せて、東京~札幌間を4時間半で結べるようにし、航空便との差別化を図りたい構え。ただ、青函トンネル内で貨物列車とすれ違う際の安全確保のため、最高速度を160キロメートルに抑えているのがネックとなっている。
両社は既に19年4月、宗谷線の稚内駅~幌延駅間で貨客混載を本格的にスタート。佐川が幌延へ届ける宅配便の荷物を稚内駅内の専用ボックスに納めた上で、ボックス自体を列車の空きスペースに積み込み、幌延駅まで輸送している。
帰りは空のボックスを同様に列車で稚内駅まで戻すとの流れだ。幌延町の配送は佐川が業務委託した現地のタクシー会社、天塩ハイヤーが同じく貨客混載で実施している。
両社の貨客混載は19年度の「グリーン物流パートナーシップ会議」で、環境負荷低減や業務の生産性向上で功績を挙げた事業者が対象の国土交通大臣表彰を獲得するなど、一定の成果を挙げている。そのため、JR北海道は協力対象をより広げることは可能とみているもようだ。
(藤原秀行)