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LOGI-BIZ記事レビュー・物流を変えた匠たち⑬LIXIL物流

LOGI-BIZ記事レビュー・物流を変えた匠たち⑬LIXIL物流

納品先のサービス業務削減を後押し

※この記事は月刊ロジスティクス・ビジネス(LOGI-BIZ)2018年1月号「協力物流会社」特集で紹介したものを一部修正の上、再掲載しています。役職名や組織名、数値などの内容は掲載当時から変わっている場合があります。あらかじめご了承ください。

建材・設備機器業界の主要5社が経営統合して誕生したのに伴い、運送会社と最適な関係を再構築したいとの思いから2014 年に協力会を立ち上げた。会員からの信頼を強固なものとするため、納品先とサービス業務削減を交渉するなど、ドライバーの負荷軽減に力を注いでいる。

「5つの約束」で基本動作改善

建材・設備機器最大手LIXILグループの中核事業会社LIXILは2011年、トステムとINAX、新日軽、サンウエーブ工業、東洋エクステリアの業界主要5社が経営統合して誕生した。多様な商品を扱うグループの物流を担うのが、旧5社の物流部門を一本化して発足したLIXIL子会社のLIXIL物流だ。全国に物流センターを14、中継拠点(TC)を100以上構え、協力運送会社と1日約4000台のトラックを運行、建設現場や販売店への納品などをつかさどっている。

LIXIL物流は14年、協力運送会社とのパートナーシップをより強固なものとするため、新たに「LIXIL運送事業者協力会(LPRO)」を立ち上げた。LIXIL物流と協力運送会社が事務局の運営を担い、全国に16の支部を配置。各支部長はエリアの協力運送会社幹部が務めている。

LIXILの物流・購買統括部でLPRO運営に携わる渡邉健司物流業務部長は「統合前の5社はそれぞれ運送会社さんとの関係性が異なっていた。統合を機に必要なことを協議する場を設け、最適な関係を再構築したいとの思いからLPROを設置した。経営統合後、われわれと運送会社さんが円滑にコミュニケーションを取っていかないと統合のシナジーを発揮できず、事業が行き詰ることは避けられないとの認識だった」と説明する。

そうした危機感の背景には、建材や設備機器の物流が持つ特有の事情がある。扱う品物は長尺や重量物、大型と手間の掛かるものが少なくない。納品する建設現場は日々変わる上、時間や車両を指定されることもしばしばで、配送量も変動する。さらに納品先が住宅地であれば周辺住民への配慮も求められる。トラックドライバーが神経を使う場面が多い。

渡邉氏も「われわれの商品は輸送業界からは嫌われる大型の重量物が多いので、われわれの方から協力運送会社さんの意見や要望を聞いて積極的に対応していかないと、関係を切られてしまうとの恐れを感じていた」と胸の内を明かす。

LPRO発足後、LIXILグループと協力運送会社の双方に利益がある活動は何かとの観点から試行錯誤し、15年に「5つの約束」活動をスタートした。LPRO事務局が採用を推奨しているチェックシートに基づき、基本的なマナーを5項目に分類、協力運送会社が正しい服装やあいさつ、現場の整理整頓、「報・連・相」推進、タイヤの輪止めなどができているかどうかをきめ細かく定期的に確認している。基本的な事柄をきっちりとこなすことで仕事のレベルを高め、ひいては運送会社のメリットになるとの狙いだ。

LIXILの物流業務部でLPRO事務局を担当している経営サポートグループの加藤圭葉氏は「当初は各支部でそれぞれチェックシートを運用していた。16年からは統一したチェックシートにして足並みをそろえた。チェック項目はもともと外部講師をお呼びして安全や身だしなみに関する講習会を開いたことがきっかけで、運送会社側からの要望もあり活動をスタートした。初年度は支部で別々に作っていたチェックシートを集めて、その中で重要な項目をまとめたチェックシートにした」と振り返る。

渡邉氏は「活動を始めた当初は輪止めをしていない車が散見されたが、今はほとんど見かけなくなった。物流センターでのあいさつも定着している。レベルは相当上がってきている」と喜ぶ。加藤氏も「最近はある会社が違う会社のドライバーさんを抜き打ちでチェックするというようなことも連携してできるようになっている」と語る。


LIXIL物流発足の経緯(LIXILグループ資料を基に作成)※クリックで拡大

物流と営業の担当が負荷削減交渉

16年からは「5つの約束」活動などと並行し、LPROの活動をドライバーの作業負荷軽減と拘束時間短縮・適正化という次のステップへと進めた。LIXIL物流と協力運送会社のメンバーがグループワークを重ねて見直すべき点を洗い出し、各地の物流センターで具体的な改善策に着手している。

庫内作業工程の見直しにも踏み込んだ。物流センターではまずピッキングした商品を配送コース別に集めた上で、そこからさらに届ける顧客別に商品群をまとめ直すという段階を踏んでいる。従来、前者の作業はLIXILサイド、後者は協力運送会社がそれぞれ行ってきたが、今はいずれの作業もLIXILサイドが手掛けるよう変更しようと順次取り組んでいる。

LIXIL物流の田畑和記配車センター所長は「ドライバーさんには作業工程変更により空いた時間を他の有効なことに使っていただける。われわれとしてもピッキングから積み込みまで一貫して自分たちで手掛けることで全体を通して作業最適化を考えられるようになる」と利点を強調する。

併せて、ドライバーが納品先でサービスとして行っている付帯業務の削減にも取り組んでいる。現場では荷降ろし以外に、顧客の要望で届ける現場別に商品を仕分けたり、棚入れをしたりといった業務をサービスで手掛けているケースが見られるため、サービス業務のうち取りやめることが可能と思われるものについて、LIXIL物流の担当者とLIXILの営業担当者が連携して納品先と交渉している。

田畑氏は「ドライバー不足の現状ではサービス業務を続けているといずれ納品にも支障が出て、お客さまにもご迷惑をお掛けしてしまうと一生懸命ご説明している。交渉は大変ではあるが、昨今の宅配便現場の窮状などが伝わっていることもあり、お客さまのご理解も進んできた。日常お客さまのご要望を把握している営業サイドが協力してくれていることも大きい」と明かす。

LIXIL物流も、複数のセンターやTCからそれぞれ商品を納品先に運んでいたのを一括で届けるよう変更、荷受け側の負担を減らす改善を提案するなど、サービス業務解消を受け入れてもらいやすくなるよう工夫を重ねている。

最近はLPROの会合でも協力運送会社から活発に意見が出るようになり、会合の運営権は協力運送会社に委ねているという。渡邉氏は「LPROOが物流面のシナジー発揮に貢献しているのは間違いない。社内の意識を引き続き高めていくことが課題だ。運送会社に選ばれる企業にならなければ未来はない」と今後を見据えている。


ドライバーの作業負荷軽減策(一部センターで実施)(LIXILグループ資料より引用)※クリックで拡大

(藤原秀行)

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