【独自取材】九州など西日本向けの車両手当てがタイトに

【独自取材】九州など西日本向けの車両手当てがタイトに

台風被害によるJR貨物の代行輸送も遠因か

 業界関係筋の話を総合すると、ここに来て九州をはじめとする西日本向けの車両確保が困難を極めているもようだ。

 7月の西日本豪雨、9月に相次いで上陸した大型台風の影響により鉄道、道路などの社会インフラに甚大な被害が発生したことが関係しているとみられる。今夏に多発した自然災害は貨物量の増加、運賃値上げといった追い風要素に冷や水を浴びせた格好だ。

 西日本向けの車両手当てが厳しくなっている背景には、前述の自然災害によって関西・中国地区で輸送網が寸断されたことを挙げる見方が強い。

 ある物流事業者の担当者は「大型台風の影響で今年はとりわけ九州発の車両が急減している。ただでさえドライバー不足で車両が見つからない中、西日本方面の帰り荷を求める絶対値が少ない状況は頭が痛い」と嘆く。

 加えて九州地区から首都圏などに農畜産物を輸送するJR貨物の山陽線で運転見合わせ・中止がたびたび発生。「相当数のトラックがJR貨物の代替輸送に仕向けられていることも車両不足に拍車が掛かっている」(業界関係者)との指摘もある。

 今夏の自然災害は阪神港でのドレージ輸送にも支障を来すなど、西日本のサプライチェーンに大きな打撃を与えている。

 別の物流事業者幹部は「これほどまでの短期間に同じエリアを台風が何度も直撃するとは想像していなかった。新たに発生した25号も不穏な動きを見せている。引き続き予断を許さない状況だ」と警戒感を強めている。

(鳥羽俊一)

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