新型コロナウイルス感染症への対応について

【新型ウイルス】荷主企業の3割強が海外からの調達・仕入れに遅れ、サプライチェーン混乱浮き彫りに

【新型ウイルス】荷主企業の3割強が海外からの調達・仕入れに遅れ、サプライチェーン混乱浮き彫りに

JILS緊急アンケート調査、物流企業も被害見込み大きく

日本ロジスティクスシステム協会(JILS)は3月18日、新型コロナウイルスの感染拡大が物流にどのような影響を与えているかに関し、荷主企業と物流企業の双方を対象に行った緊急アンケート調査結果を公表した。

物流面で何らかの課題が発生したと答えたのは荷主企業、物流企業でともに5割を上回り、国内外のサプライチェーンが混乱していることが浮き彫りとなった。また、社員が感染症などを発症した場合に備え、今回の新型コロナ感染拡大前にマニュアルや手順を整備していたのは、物流企業で2割、荷主企業でも3割弱にとどまるなど、対策を進める上で課題も見えてきた。

調査は3月11~13日、JILSの会員企業789社を対象に実施。荷主企業87社、物流企業95社の計182社から回答を得た。

国内で3割強に納期遅れ発生

【荷主企業】

荷主企業に対し、物流面に課題が発生したかどうかを尋ねたところ、「全社的な課題が発生」が19・8%、「一部に課題が発生」が38・3%となり、合わせると58・0%に達し、「影響はない」の33・3%を大きく上回った。

影響の具体例として、海外向け出荷の一部停滞、海外拠点の生産調整による部品出荷調整、航空便減便によるスペース確保難、原料不足など多様な声が寄せられた。

今回の感染拡大で海外の取引先からの原材料や部品、商品の調達・仕入れに影響があるかどうかに関しては(複数回答可)、「遅れが生じている」が36・3%、「できなくなったものがある」が15・0%、「調達・仕入れ先が変更となったものがある」が13・8%などとなった。

生じた課題の具体的な内容としては、原材料や部品の購入先を中国から日本、東南アジアにシフトしたり、中国のサプライヤーや物流企業と日々連絡を取り合ったりしていることが挙げられた。

国内の取引先に向けた製品・商品の受注・納品・販売への影響の有無については(複数回答可)、「納品に遅れが生じている」と「大幅な受注・販売増となった製品・商品がある」がともに32・9%、「大幅な受注・販売減となった製品・商品がある」と「受注・販売量の制限や納品先・頻度等に変更が生じている」がいずれも20・3%などとなった。

具体的な声としては「ハンドソープ・固形石鹸は2月後半から3月に入り前年比2~3倍の販売推移」「設備投資計画の見直しによる受注減少、現地工事入場制限による工事進捗遅れ」「3月から家庭向け加工食品の注文が大幅に増加」などがあった。

海外の取引先に向けた製品・商品の受注・納品・販売への影響の有無は(複数回答可)、「遅れが生じている」が13・9%、「大幅な受注・販売減となった製品・商品がある」が12・7%などとなった。


海外取引先


国内取引先(いずれもJILS調査結果資料より引用)※クリックで拡大

通販のトイレットペーパーや参考書の取り扱い増加

【物流企業】

物流企業に対し、物流面に課題が発生したかどうかを問うた結果、「全社的な課題が発生」が14・4%、「一部に課題が発生」が43・3%に上り、合計すると57・7%。「影響はない」の33・3%を引き離した。

「一部荷主の生産・出荷が大きく減り、輸送量が減少、乗務員の水揚げ確保が難しくなった」などと業績への直接の影響を指摘するほか、「入場の際にマスク着用を義務付けられたが入手困難なため対応に苦慮している」「テレビ会議システムの不足」といった副次的な性格のものを挙げる向きも見られた。

新型コロナウイルスの感染拡大が報じられた今年2月ごろ以降、例年と比べて物量が増加していると思われるアイテムがあるかどうか質問した結果、「ある」が25・3%、「やや増加したアイテムがある」が18・7%となった。「ない」は45・1%だった。

具体的なアイテムとしては、一般向け加工食品、製パン、市販用冷凍食品、納豆、ヨーグルトなどが挙がったほか、水やトイレットペーパーなど通販で扱っている日用品、小中学校の休校措置に伴う参考書なども見られた。

半面、減少していると思われるアイテムの有無は「ある」が23・3%、「やや減少したアイテムがある」が33・3%で、「ない」の25・6%を上回った。住設機器や精密部品、中国からの冷凍野菜や電子部品、アパレル、建築資材などが列挙されている。

社員が感染症などを発症した場合に備えた社内の手順、マニュアルなどの整備状況に関しては、事前に整備されていたのが荷主企業の29・1%、物流企業の20・4%にとどまった。BCP(事業継続計画)で感染症拡大などへの対策を策定しているかどうかについては、「(コロナウイルスの前に)策定していた」が荷主企業は31・6%、物流企業は16・1%だった。

(藤原秀行)

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