【動画】プロに見せたい物流拠点(特別編)DHLサプライチェーンが東京・品川の基幹拠点で入出荷完全自動化

【動画】プロに見せたい物流拠点(特別編)DHLサプライチェーンが東京・品川の基幹拠点で入出荷完全自動化

ロボット13台投入、2万SKUのアイテムを円滑取り扱い

DHLサプライチェーン(SC)はこのほど、2019年9月から入出荷や棚卸しの業務に物流ロボットを投入、自動化を果たしている東京・品川区八潮の基幹拠点「東京物流センター」をロジビズ・オンラインに公開した。

商品を収めている棚の下に潜り込み、持ち上げて作業エリアまで運ぶGTP(Goods to Person)型ロボットを現在は13台稼働させている。統合自動倉庫管理システムを機能させてロボットを複数台同時に動かしており、作業効率は3割程度向上したという。同社はさらに庫内の搬送などの業務も含めたフルオートメーション化を視野に入れている。ロジビズ・オンラインの独自企画「プロに見せたい物流拠点」シリーズの特別編として紹介する。

関連記事:【独自取材】DHLサプライチェーン、日本でデジタル化推進

納品書などのペーパーレス化も実現

東京物流センターは延べ床面積3・9万平方メートルで、主に大手パソコンメーカーの補修部品などを取り扱っている。品質マネジメントに関するISO9001や環境マネジメントのISO14001などの国際規格を満たしている。

ロボットを投入したのは同センター内の約2000平方メートル。パソコン用補修部品など約2万SKUに上るアイテムの入出荷・棚卸しにGTP型ロボットを取り入れ、専用の棚510台を適宜動かし、計5カ所に庫内スタッフの作業スペース「ワークステーション」を設けている。入荷が2カ所、出荷が3カ所との内訳だ。出荷3カ所のうち1カ所は緊急対応が求められるアイテム用に割り当て、スピード出荷できるよう配慮している。

入荷の際は棚の空き容量とワークステーションまでの距離をシステムが自動計算し、最適な棚をロボットが運んでくる。庫内スタッフがアイテムの情報をハンディースキャナーで読み込んでシステムに登録すれば完了する。

出荷の場合はオーダーをシステムが自動的に組み替え、最適な順番でロボットが棚を運んでくる。庫内スタッフはモニターに表示された場所のアイテムを取り出し、別の棚でランプが点灯したコンテナに入れるとの流れだ。

  
GTP型ロボットが棚を持ち上げ、ワークステーション(右)に移動する

  
指示された場所のアイテムを取り出し(左)、ランプが点灯したコンテナに入れる

DHLSCサービスロジスティクス事業本部で東京物流センターの吉田清和ジェネラルマネージャーは「全体の労働力の70%以上が入出荷の工程に集中しており、常に労働力不足を課題として抱えていた。ロボットの導入と統合自動倉庫管理システムの構築で効率的かつエラーが発生しにくいソリューションを実現することができた」と語る。

併せて、従来同梱していた納品書と返却案内書のペーパーレス化を実現。顧客はDHLSCが運用しているシステムにアクセスすれば、パソコンやタブレット端末、スマートフォンから納品情報を確認できるようにしている。DHLSCで当初から東京物流センターの自動化プロジェクトに携わり、現在はサービスロジスティクス事業本部のキーアカウントマネージャーを務める古田島綾子氏は「1日に2000~3000枚を出力していた紙を削減できたのは非常に大きい。お客さまにもご不便をお掛けしないような形になっている」と強調する。

既存のオペレーションに影響を及ぼすことなく作業完了

サイトにおける最適な人員配置が求められていたため、東京物流センターの自動化プロジェクトの検討は18年夏から本格化した。タイトなスケジュールの中でセンターの稼働を止めず、継続しながらスペースを工夫し、入出荷オペレーションに最も合ったロボットを順次導入していった。ほぼ当初の想定通り、1年間でオペレーション自動化にこぎ着けることができた。

DHLSCサービスロジスティクス事業本部で東京物流センターオペレーションマネージャーの石川純氏は「1年間、本当に貴重な経験ができた。センター全体の運営は止めないよう、旧来のレイアウトから現在のレイアウトへ計7回の作業を経て徐々に変更していった。この経験は他のセンターにも応用できる」と振り返る。

DHLSCの本間乾一朗執行役員サービスロジスティクス事業本部長は、成果が着実に挙がっていることに満足しながらも「まだ本当の意味でのフルオートメーションになっていない。1~2年で次のステップに進んでいかないといけないと思っている」と説明。「人員配置の最適化の結果、スタッフには付加価値業務に対応していただきたい」と狙いを語る。

日本国内の拠点で自動化を横展開していくとともに、グローバルでもDHLSCのアジアや欧米拠点に日本で積み重ねた経験、ノウハウを広げていくことを想定している。


(左から)本間、石川、古田島、吉田の各氏※クリックで拡大

(藤原秀行)

(了)

物流施設/不動産カテゴリの最新記事