日立物流、エーアイテイーと資本業務提携

日立物流、エーアイテイーと資本業務提携

フォワーディング強化し国際一貫物流の基盤拡充

 日立物流は10月10日、フォワーディングなどを手掛けるエーアイテイー(AIT)と資本業務提携すると発表した。

 日立物流がAITに20%出資する。中国からの輸入貨物などを得意とするAITの力を借り、フォワーディングを強化して国際一貫物流の基盤を拡充したい考え。

 AITは日立物流と協力し、取扱量拡大を目指す。日立物流が資本・業務提携しているSGホールディングスとの連携強化も視野に入れている。

 AITは併せて、日立物流傘下でフォワーディングを展開している日新運輸(大阪市)と株式交換し、同社を完全子会社化する。

 一連の資本提携はAITが今年12月21日に開催する臨時株主総会で承認を得ることなどを条件に、来年3月1日付で実施する予定。

 東京都内で共同記者会見に臨んだ日立物流の中谷康夫社長は「フォワーディングは必ずしも強い領域ではなく、強いパートナーが欲しかった。日新運輸から見た時に、AITはベンチマーク先だった」と説明。「強いバイイングパワーと高い収益力をつくり上げた(AITの矢倉英一社長の)手腕をお借りしながら、3PL事業の強化にもつなげていきたい」と語り、フォワーディングと3PLを連携させた総合物流サービスの需要獲得を進める姿勢を強調した。

 AITの矢倉社長は「ここ数年成長が鈍化しており、顧客層を広げようと努力したが大きな成果につながっておらず、大きな危機感を持っていた。再び成長軌道に乗せるには当社にないものを持つ企業とのアライアンスが重要と考えた」と動機を説明。メーンのアパレルや雑貨の取り扱い強化とともに、新分野開拓にも積極的に推進したいとの意向を示した。

 AITはフォワーディングで年間20万TEU(20フィート標準コンテナ換算)の取扱量を誇り、「その8割は中国からの輸入貨物が占める」(矢倉社長)。日新運輸とタッグを組むことでフォワーディングの交渉力強化などにつなげるとともに、中国やASEANを中心としたグローバルの物流網を広げていきたい考え。

関係者は「売上高で数十億円規模のプラスの可能性も」と期待

 AITへの出資比率を20%としたことについて、中谷社長は「せっかくいいビジネスモデルを持っている会社の連結化にこだわると関係が面倒くさいことになってしまう。(経営に)一定の責任を持つという意味で出資は必要なので、SGホールディングスの場合と同じく20%にした」と述べた。

 グループの日立物流バンテックフォワーディングとの役割分担に関しては「まずはシナジーの効果を見ながら(体制など)どうやっていくか、相談しながら対応したい」と話した。

 提携によるシナジーの具体的な効果については、両社長は会見で明言を避けたが、両社関係者は「おそらく売上高で数十億円規模のプラスになると思っている。フォワーディング以外にも通関や検品など周辺部分の需要を拡大できる」との見通しを明かし、提携効果に強い期待をのぞかせた。

(藤原秀行)

共同記者会見後に握手する(左から)矢倉AIT社長、中谷日立物流社長

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