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問題装置納品の70施設を公表、港湾関連が4件

問題装置納品の70施設を公表、港湾関連が4件

物流施設は含まれず・KYBの免震・制振データ改ざん問題

 油圧機器大手KYBと子会社のカヤバシステムマシナリー(東京)が建築物用の免震・制振装置に関する性能検査記録データを改ざんし、国の基準や顧客との契約内容に適合しない装置を出荷していた問題で、両社は10月19日、不適合製品を納めた建築物のうち、所有者らの了解を得られた施設70件を公表した。

 公表対象は免震のオイルダンパーを設置した施設のみで、不特定多数の人が利用する国や都道府県、地方自治体などの庁舎を優先させた。東京・霞が関の財務省や国土交通省の庁舎も名を連ねている。

 民間の物流施設は名前がなかったが、「名古屋港管理組合本庁舎・名古屋港湾会館」(名古屋市)など港湾関連の施設が4件含まれている。庁舎だけに絞っても対象は全国24都道府県に及んでおり、他の公的施設や民間施設を含めると問題は今後さらに波紋を広げそうだ。

今後の対象施設公表は「しかるべき時期に行いたい」

 国交省内で同日記者会見した齋藤圭介KYB取締役専務執行役員は「このような不適切な行為を起こしてしまい大変申し訳ない」と陳謝。70件以外の物件名公表に関し「現時点では今日の50施設しか了承を得られていない。次の公表は例えば来週などしかるべき時期に行えるようにしていきたい」と述べ、所有者から名称公表の許可を得る作業を急ぐ考えを示した。

 同席した廣門茂喜カヤバシステムマシナリー社長は、データ改ざんを経営層が把握していたかどうかとの質問に対し「現場の担当者間で、口頭で引き継ぎが行われていた。(当時の経営層が)把握していたかどうかは現在調査中」と述べるにとどめた。

 会見では併せて、これまで問題の装置を納入した施設が延べ986件と説明していた点について、東京都内で工事中の庁舎1件が新たに該当すると判明したことを理由に挙げ987件に訂正した。

 公表した70件を見ると、改ざんの可能性があるものの過去のデータが見当たらないため、最終的に確認できていない「不明」に分類したものが最も多く42件。国の基準に適合していないものが11件、顧客との契約で定めた基準を満たしていないものが港湾関連施設4件を含む17件だった。

交換工事の終了時期見通し明言せず

 KYBは16日に中島康輔会長兼社長らが記者会見して問題を発表。地震などが発生した際に油圧を使って建物の揺れを抑えるオイルダンパーに関し、国の評価基準や顧客との契約に盛り込んだ基準から外れたデータを改ざんし、適合しているかのように偽っていたことを認めた。基準を満たしていない場合は製品を分解し、内蔵している部品を再度調整する必要があるが、KYBによれば時間を省くために担当者が改ざんしたとみられるという。

 同社は問題の製品を全て交換する方針と説明しているが、代替品の生産能力には限界があり、交換工事を終えるには相当の時間を要しそうだ。19日の会見で齋藤取締役は「現在製品の生産能力をどこまで上げられるか各工程で検討中」と語ったものの、工事終了の時期は明確に言及しなかった。

 この日の会見では施設名の公表に会社側の意識が集中し、詳細な真相究明や再発防止など今後取るべき道筋は示されなかった。不正行為は15年以上続いていた可能性があるという深刻な事態を同社経営陣がどこまで真摯に受け止め、行動に移していくかが厳しく問われている。

(藤原秀行)


会見で施設名公表について説明する齋藤KYB取締役専務執行役員(右)と廣門カヤバシステムマシナリー社長

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