新型コロナウイルス感染症への対応について

【独自取材】物流施設特化型Jリート、「純資産価値」倍率が高水準

【独自取材】物流施設特化型Jリート、「純資産価値」倍率が高水準

ホテル・旅館や商業施設系上回る、コロナ下でも安定収益が注目か

Jリート(不動産投資信託)市場で投資対象を物流施設に特化しているか、ポートフォリオの中で物流施設が相当な割合を占めている11銘柄が、投資家の注目を集めている。

Jリートへの投資を検討する際の指標として広く用いられている「NAV(純資産価値)倍率」で見ると、11銘柄はいずれも投資口価格(企業の株価に相当)が割安かどうかの目安となる1倍を上回り、2倍近辺に達している銘柄も複数見られる。

新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛の影響を受けて経営環境が厳しさを増しているホテル・旅館や商業施設に重点を置いているJリートの銘柄が軒並み1を割り込んだり、1近辺にとどまったりしているのとは対照的だ。背景には、物流施設が中長期的に安定した収益を挙げることが投資家に評価されていることがありそうだ。

新型コロナウイルスの感染拡大で世界経済が打撃を受ける中でも、先進的な機能を有する物流施設はeコマースの利用拡大などで引き続き需要が見込まれるとの見方が不動産業界などで多いことも、プラスに働いているようだ。

歴史長い銘柄が高い人気の傾向

Jリートは不動産物件に投資し、得られた賃料や不動産売却益から分配金を投資家に還元する金融商品で、投資家にとっては中長期的に安定した収益が上がることが魅力。

本来は株式市場の動きとは連動していないが、世界中の金融市場を“コロナショック”を襲う中、投資家がリスクのある資産を現金化しようと急いだことから、物流施設系のJリートも投資口が売られ、価格が大きく下がった。ただ、その後は株式市場に冷静さが広がるのと歩調を合わせる形で、物流施設系の11銘柄はいずれも値を戻している。

NAVは投資法人の1口当たり投資口価格が、1口当たりの純資産額に対して何倍あるかを示したもので、投資口価格が投資法人の保有する不動産の正味の価値より高いか低いかを見極める参考となる。企業の持つ資産と比べて株価が割安かどうかを判断するのに用いる「株価純資産倍率(PBR)」と同じような位置付けだ。

6月22日時点で物流施設系のJリート11銘柄はいずれも1を上回り、産業ファンド投資法人は2・02、日本ロジスティクスファンド投資法人が1・96、日本プロロジスリート投資法人が1・93など、Jリート市場に上場した歴史が長い銘柄の人気の高さが目立つ。

一方、ホテル・旅館系は5銘柄中4銘柄、商業施設系も5銘柄中2銘柄が1を下回るなど、他のアセットを投資対象としている銘柄より投資口価格の割安感が強くなっている。

投資市場で以前より主力のアセットととらえられているオフィスビルや住宅をメーンの投資対象としているJリートの銘柄よりも高いNAV倍率を示している物流施設系銘柄もあり、投資市場における物流施設の存在感が高まっていることをあらためて物語っているといえそうだ。

アセット特化型JリートのNAV倍率(6月22日終値を基に算出)

投資法人名 メーンスポンサー NAV倍率
物流施設
CREロジスティクスファンド CRE 1.39
伊藤忠アドバンス・ロジスティクス 伊藤忠商事 1.31
ラサールロジポート ラサール不動産投資顧問 1.54
GLP 日本GLP 1.73
日本ロジスティクスファンド 三井物産 1.96
産業ファンド 三菱商事、UBS 2.02
SOSiLA物流リート 住友商事 1.69
大和ハウスリート 大和ハウス工業 1.17
三菱地所物流リート 三菱地所 1.44
三井不動産ロジスティクスパーク 三井不動産 1.67
日本プロロジスリート プロロジス 1.93
ホテル・旅館
ジャパン・ホテル・リート SCキャピタルパートナーズ 0.92
星野リゾート・リート 星野リゾート 1.01
いちごホテルリート いちご 0.55
大江戸温泉リート 大江戸温泉物語グループ 0.76
森トラスト・ホテルリート 森トラストグループ 0.99
オフィスビル
日本ビルファンド 三井不動産 1.68
ジャパンリアルエステイト 三菱地所 1.50
グローバル・ワン 明治安田生命など 1.00
ケネディクス・オフィス ケネディクス 1.13
いちごオフィスリート いちご 1.12
大和証券オフィス 大和証券グループ本社 1.15
ジャパンエクセレント みずほフィナンシャルグループなど 1.20
インベスコ・オフィス・ジェイリート インベスコ・グループ 1.16
住宅
スターツプロシード スターツコーポレーション 1.19
日本アコモデーションファンド 三井不動産 2.20
アドバンス・レジデンス 伊藤忠商事 1.87
コンフォリア・レジデンシャル 東急不動産 1.77
サムティ・レジデンシャル サムティグループ 1.13
商業施設
日本リテールファンド 三菱商事、UBS 0.85
フロンティア不動産 三井不動産 1.16
イオンリート イオン 1.05
ケネディクス商業リート ケネディクス 0.89
エスコンジャパンリート 日本エスコン 1.08

※直近決算の「1投資口当たり純資産」を活用。各アセットの投資法人分類は不動産証券化協会のものを参考にしている

(藤原秀行)

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