免震・制振用ダンバー、物流施設2件含む93件に納入
鋳造部品大手の川金ホールディングス(HD)は10月23日、グループ2社が製造・出荷に携わっている建築物の免震・制振用オイルダンパーに関し、検査担当者が顧客との契約内容に盛り込んだ基準値に適合しない製品のデータを書き換えて出荷していたと発表した。
同社の説明などによると、書き換えが行われていたのは2005年2月~18年9月に出荷したもので、グループの光陽精機と川金コアテックが製造・販売に携わっていた。問題のオイルダンパーは免震用4物件、制振用は89物件の計93物件に納入していた。
このうち免震用で物流施設が2件該当しているが、同社は詳細を明らかにしていない。他の用途の施設を含め、所有者らの了解を得た上で公表する方向。
KYBと子会社のカヤバシステムマシナリーによる同様の不正が発覚したのを受け、国土交通省が免震ダンパーなどの国土交通大臣認定を取得している事業者に不適合案件がないか確認・報告するよう求めており、その調査の過程で書き換えが判明した。川金HDによれば、国の基準不適合のダンパーはないという。
書き換えの動機は「納期の面が一番大きい」と推測
川金HDの鈴木信吉社長は23日午後、国交省内で記者会見し「皆さまに多大なるご迷惑をお掛けしてしまい大変申し訳ない」と謝罪。
建物の所有者らの意向を踏まえ、当該のオイルダンパーの交換などを進めるとともに、社内に設置した調査委員会が事実関係の確認と再発防止策を検討していく考えを強調した。
経営責任については「原因の究明などをしっかり行い、結果が出たところで考える」と述べるにとどめた。業績への影響を聞かれたのに対し、鈴木社長は「まだ計算できていない。ダンパーを取り換えた経験がないので、建築事業者の方々に見積もりを出していただかないと、どれほど費用が掛かるかは見当が付かない」と詳細の言及を避けた。
担当者が書き換えを行った動機について、会見に同席した光陽精機の早瀬尚取締役総務部長は「納期の面が一番大きかったと思うが、それ以外の点についてはまだヒアリングが十分できていない」と語った。
記者会見で厳しい表情を見せる川金HD・鈴木社長(右)と光陽精機・早瀬取締役総務部長