【独自取材】「収納スペースシェア」のLIFULL SPACE、倉庫業など物流企業との連携に意欲

【独自取材】「収納スペースシェア」のLIFULL SPACE、倉庫業など物流企業との連携に意欲

ヤマトの拠点3カ所で実証実験展開、堅調なニーズ確認

不動産・住宅情報サイト運営のLIFULL傘下で収納スペースのシェアリングサービスなどを展開しているLIFULL SPACE(東京・麹町)の奥村周平代表取締役はこのほど、ロジビズ・オンラインのインタビューに応じた。

同サービスは個人、法人の両方で需要が伸びており、将来性が非常に見込めると強調。事業を100億円規模にまで伸ばすことも可能との見方を示した。

また、今年2月にヤマト運輸と宅配便の営業拠点の一角を収納スペースとしてシェアリングする実証実験を始めた点に関し、法人からニーズを獲得していると説明。収納シェアリングのプラットフォーマーとして使い勝手の良いスペースをより多く確保するため、倉庫業など物流企業と連携していくことに強い意欲を示した。


奥村代表取締役(LIFULL SPACE提供)※クリックで拡大

1帖以下の狭小空間もOK

LIFULL SPACEはトランクルームに関する情報を取り扱う日本最大級のウェブサイト「LIFULLトランクルーム」を運営しているのと併せて、収納スペースのシェアリングサービスを提供。同サービスは個人や企業の遊休空間と、荷物を置きたい個人や企業をマッチングしており、スペースの情報は「LIFULLトランクルーム」にも掲載している。

一般的なトランクルームより利用料を安く抑え、1帖以下の狭小空間も手掛けるなど、「短期・小ロット」の保管ニーズに応えられるよう配慮。万が一盗難や紛失などのトラブルが起きた場合に備えて補償も設定している。現在は首都圏以外のエリアも含めて100カ所程度のスペースを押さえているという。

奥村氏は収納シェアリングのスペースとして住宅やオフィスのほか、整骨院、美容室などの一部空間を活用していると解説。「このサービスを始めて、世の中に結構空いているスペースがあると分かった。地道にスペースを増やしていきたい」と強調、利便性の良いエリアにシェアリング形態で素早く収納スペースを確保し、トランクルームサービスと差別化を図っていきたいとの考えを示した。

トランクルームを含めた国内の収納サービス市場は年5~10%程度成長しており、1000億円規模までは到達するとの見方が業界内でも多いと分析。「当社のように安くて身近にスペースを提供できれば、住まいの近くにトランクルームが存在していない人のニーズを掘り起こし、既存のパイを取り合うのではなく市場の幅を広げていくことが可能」と分析した。


「LIFULL トランクルーム」のウェブサイトに掲載している収納スペースシェアの情報※クリックで拡大

取り出した荷物は宅配便で発送も可能

ヤマトとの取り組みについては、まず同社の東京・多摩市の「ネコサポステーション貝取店」内で収納スペースのシェアリングに関する実証実験をスタートし、現在は首都圏の計3カ所に拡大していると説明。専用ボックスに荷物を入れて預かっており、商品を取り出す際はヤマトの宅配で自宅などに届けてもらうことも可能にしているという。

奥村氏は「宅配だけにとどまらず地域の諸課題解決に注力しているネコサポステーションに収納シェアリングの機能を追加することで、ヤマトさんとしても当社としても、より地域社会に貢献していくことができる」と効能をアピール。「実証実験の期限は特段決めていないため、いろいろなことを試してみたい」との意気込みを明らかにした。

ヤマト拠点での収納シェアリングの稼働状況に関しては「実証実験ということを考えればそれなりに利用していただいているのではないか」と語り、より成果を挙げてヤマトの他の拠点にもサービス対象を広げていけるようにしたいとの思いをアピールした。

収納スペースをさらに確保するため、奥村氏は個人の住宅や法人の事務所などに加え、倉庫業など物流企業と連携していく可能性に言及。「寄託倉庫と組むことができれば、物流サービスも付随してくるだけに利便性が非常に高まる」と期待を寄せた。既に同社から物流企業にアプローチを重ねているという。奥村氏は引っ越し会社などへの働き掛けにも関心を見せた。

(藤原秀行)

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