【動画】1時間に荷物10万個処理可能、「Xフロンティア」内の佐川急便大規模中継センターを公開

【動画】1時間に荷物10万個処理可能、「Xフロンティア」内の佐川急便大規模中継センターを公開

24時間体制で運営想定、働きやすい環境整備にも配慮

佐川急便は9月29日、東京都江東区新砂の大型物流施設「Xフロンティア」で2021年1月の本格稼働開始を予定している宅配荷物などの中継センターをメディアに公開した。

Xフロンティアは佐川を含むSGホールディングスの主要事業会社が活用。地上7階建て(うち倉庫部分は6階建て)、延べ床面積は17万1029平方メートルに上る。中継センターは首都圏に分散している佐川の5センターの機能を集約する形でXフロンティアの1~2階と3~4階の2層に設置。既に半分程度の設備搬入を終えており、1~2階部分は10月からテスト的に運用を始める予定。この日は1~2階部分を中心にお披露目した。24時間体制での運営を想定している。

中継センター自動仕分け装置を導入するなど、先進技術を積極的に導入。トラックバースの数も旧来のセンターから大幅に増やし、1時間当たりの処理能力は約10万個と旧来の佐川大型センターの5倍程度に相当する同社最高レベルに高める計画だ。

着車バースは荷降ろし場60台、積み込み場236台を設け、一度に大量の荷物が集中する繁忙期でも円滑に仕分けや発送をこなせるようにする。輸送効率は全体で15%程度アップすると見込む。


Xフロンティアの外観(SGホールディングス提供)※以下、全てクリックで拡大

715台のカメラでマテハン設備の稼働状況を逐次確認

荷降ろし場は到着したトラック1台当たり荷物の種類別に2本のベルトコンベヤーを確保し、仕分けエリアへ迅速に荷物を送り込めるよう工夫。ドライバーがトラックから荷物を降ろしてベルトコンベヤーに乗せる際、補助者を不要とするマテハン設備を取り入れている。

仕分けエリアには佐川のセンターとして初めて、クロスベルトソーターを2本設置。貴重品を仕分けるエリアでも自動仕分けが可能なコンパクトソーターを取り入れ、従来は人手に頼ってきた作業の自動化を実現している。

庫内は715台のカメラでマテハン設備の稼働状況などを1階のコントロールルームで監視し、作業の進捗具合を随時確認。遅れやトラブルが発生した場合は速やかに対応できる体制を整えている。

さらに、積み込み場のシューターは赤や黄などに色分けされ、どのエリアへの荷物を取り扱うラインかがひと目で分かるようにするとともに、庫内で働くスタッフが明るい気持ちで仕事できるよう配慮。フロアにも同色のラインを引き、どこへ荷物を搬送すればいいかを明確に示している。また、同社初の試みとして、センター内は車路を庫内作業スタッフが歩かないよう動線を分離、現場の安全確保に努めている。大型の荷物などはAGV(自動搬送ロボット)や自動フォークリフトを使って積み込み場まで届けることを検討している。


赤や黄などの色に分けられた積み込み場のシューター


監視カメラの画像を確認するコントロールルーム


色分けされた床のライン


奥行き300メートルの広大なセンター


試験導入している自動フォークリフト


荷物が載るコンベヤーをリモコンで変えられるターンローラー


貴重品の仕分け用ルーム

併せて、Xフロンティアの5階に開設した3PLなどを担う佐川グローバルロジスティクス(SGL)の最新ロボット活用拠点「シームレスECプラットフォーム」と、6階に入居している引っ越し業務などを担うSGムービングのオフィスと設備も公開した。

シームレスECプラットフォームは今年4月に運営をスタート。中小のEC事業者向けに従量課金制で物流ロボットを使った入出荷などを提供するフルフィルメントセンターを順次提供している。ギークプラスの自動搬送ロボット「EVE」やカナダ・クリアパスロボティクスのAGV「OTTO」を採用。現在はオカムラが取り扱っている自動倉庫システム「AutoStore(オートストア)」の設置工事が進められており、来年3月ごろに稼働を始める見通しだ。オートストアで入出荷する商品を運ぶロボットは通常赤色だが、特注で佐川のコーポレートカラーのブルーを採用したという。

SGムービングは美術品などを適切な温度・湿度で管理できる特別な保管スペースと、美術品の梱包作業を行うオペレーションルームを公開した。


オートストアの設置工事現場


オートストアのロボットは特注の“佐川ブルー”


美術品などの特別な保管スペース


梱包作業用ルーム


SGムービングオフィス横の明るい雰囲気の接客スペース

(藤原秀行)

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