来夏めど中間答申取りまとめ
国土交通省は11月4日、東京都千代田区霞が関の同省内で、社会資本整備審議会道路分科会の国土幹線道路部会(部会長・朝倉康夫東京工業大環境・社会理工学院教授)を開き、赤羽一嘉国交相が10月に同審議会へ諮問した「持続可能な高速道路システムに関する制度等について」の議論を開始した。
事務局を務める国交省は、論点として、新たな料金体系や災害からの速やかな復旧・復興を可能とする道路ネットワークの在り方などを提案。2021年夏をめどに中間答申として取りまとめるスケジュールを提示し、部会の了承を得た。
今後は高速道路会社や地方自治体、経済団体などの意見を聞いた上で検討を本格化させる。渋滞解消を後押しする料金制度や、老朽化が進む道路インフラの維持管理・更新の財源確保が焦点となる。国交省の提案からは道路の老朽化対策とサービスレベル維持・向上のため料金徴取を永続的に継続したいとの思惑がにじみ出ており、徹底した議論が求められる。
機動的な料金変更可能な仕組みを構築
国交省が示した論点は、
①人流・物流を支え、災害からの速やかな復旧・復興を可能とするネットワークの在り方
②社会・経済状況の変化に応じて、道路の賢い利活用を実現する料金制度の在り方
③高速道路の高いサービス水準をさらに引き上げつつ、良好なインフラを次世代に継承するために必要な維持管理・更新等を図る枠組み
④自動運転時代・ポストコロナ時代に必要となる機能強化の方向性
――などで構成。
速やかに検討すべき課題としては、これまでに導入してきた深夜割引や平日朝夕割引といった料金体系の評価と課題抽出を進めた上で、混在の緩和に向け、社会・経済状況に応じて機動的な料金変更ができる仕組みを構築することを明記。併せて、利用者重視の料金推進のため「公平性の観点から対距離制を基本としつつ、交通渋滞の抑制に留意した上で、高速道路の(利用度合いを表す)交通分担率を引き上げるために必要な料金低減に向けた努力を継続」することを打ち出した。
併せて、インフラの安定的な維持管理・更新・機能強化を担保するため、「償還満了後も料金を永続的に徴収することも含め、必要な財源を確保するための措置を検討し、具体化」すると強調。現在の無料区間も、地域の意見を聴取した上で有料化を検討することを盛り込んだ。
このほか、自動運転普及や災害の頻発などをにらみ、中長期的な高速道路の姿を具体化した上で、将来像の実現に向けたロードマップ(工程表)を早急に作成することなどを記している。
(藤原秀行)