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【新型ウイルス】貿易保険、コロナの影響による損失もカバー対象に

【新型ウイルス】貿易保険、コロナの影響による損失もカバー対象に

経産省が懇談会報告書基に法改正検討、サプライチェーン拡大にも対応強化

経済産業省の「貿易保険の在り方に関する懇談会」(座長・柳川範之東京大大学院教授)はこのほど、政府が全額出資している日本貿易保険(NEXI)が運営する貿易保険制度の見直しに関する報告書をまとめた。

貿易保険は日本企業が輸出や海外企業への投資などに絡んだ代金回収不能といったリスクをカバーする。民間の損害保険では補償が難しい領域を補うのが狙いで、保険料は加入している民間企業から徴収している。

報告書は企業が新型コロナウイルスの感染拡大の影響で被った損失も貿易保険でカバーする範囲に加えるよう提言。サプライチェーンがグローバル規模で広がっている現状を踏まえ、海外子会社が出資した企業で生じた損害により企業の本体に損失が及んだケースも保険の対象とすることを求めている。

経産省は報告書の内容を基に、コロナなど感染症の影響で生じた損失もカバー範囲とすることなどを盛り込んだ貿易保険法の改正案を2021年の通常国会に提出することを目指す。今後、具体的にどの範囲までコロナによる損害を対象とするかなど、詳細を詰める。

報告書は、コロナの影響で、事業を展開している国がロックダウン(都市封鎖)となりプラント建設工事が中断、作業員の待機費用などが発生したり、港湾が閉鎖されて船舶の航行スケジュールが変更、国内で貨物を保管するための費用が掛かったりしたケースを紹介。「今般の感染症に限らず、今後、ビジネスの当事者の責めに帰さないさまざまなリスクが生じることが想定される中、企業が安心して輸出や投資などの事業を行える環境を整備する必要がある」との見解を示した。

同時に「いたずらに保険の対象を拡大すると、保険料を引き上げざるを得ず、結果的に保険契約者の負担の増加につながるおそれがある。保険の基本的な骨格やNEXIの収支相償の原則などにも留意し、慎重に保険商品の設計を行う必要がある」と指摘した。

また、サプライチェーンが海外にも広がっている点を踏まえ「企業が行う直接投資のみならず、再投資先以降の間接投資についても保険の対象とし、わが国企業のレジリエンス(変化への耐性)強化を支援できるようにすることが適当」と結論付けた。

報告書はさらに、NEXIと国際金融機関の関係についても言及。「機関から融資や海外情報を得ることで、わが国企業の海外展開をさらに進めていく観点から、例えば国際金融機関への出資によってNEXIと国際金融機関との連携を強化することが適当である」と明示した。

経産省は報告書の内容にのっとり、NEXIが国際金融機関に出資することも可能にする方向だ。アフリカなどの機関に出資することで現地の情報収集を進め、日本企業の海外進出に伴うトラブルを抑制することにつなげたい考えだ。

(藤原秀行)

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