物流施設などの供給は増加傾向、進出の選択肢検討を呼び掛け
JLL(ジョーンズ ラング ラサール)は11月19日、「国際物流拠点へと飛躍を遂げたインド製造・物流不動産市場の今」と題するウェブセミナーを開催した。
インドはアジアや中東に広がる戦略的物流ネットワークの中心に位置し、個人消費の市場も膨大な規模に上るなど、多くの優位点を持つと指摘。既に日系企業やグローバル企業の進出も広がっていると説明した。
その上で、物流施設などの産業用不動産の供給も年々増えている一方、賃料相場は日本国内の水準よりいまだ低いと指摘。進出の選択肢を検討するよう呼び掛けた。
セミナーにはJLLから森元庵平サプライチェーン&ロジスティクスコンサルティング事業部長、高橋貴裕インテグレーテッドポートフォリオサービス事業部長兼コーポレート営業本部長が登壇した。
インドに関し、世界の海上輸送における貿易の60%がインド経由のルートを使っているとの調査結果を引用。国全体で生み出す総付加価値は2019年の3960億米ドル(約40兆8000億円)から30年には1兆2000億米ドル(約123兆6000億円)へ約3倍に膨らむと見込まれていることなども紹介、市場成長の有望性を強調した。
併せて、労働力が豊富で教育水準も高く、交通インフラも充実していると分析。税制面などの優遇措置も評価した。
日系企業もインドへは18年時点で1400超、約5100拠点が進出しているとの統計に触れ、日系の工業団地も数多く存在していると解説。産業用不動産も20年は物流・軽工業向けに良質な施設(建築面積3万平方メートル以上)の供給が670万坪(約2200平方メートル)と、19年比で約15%増になる見通しと紹介した。
20年の賃料相場も、グレードAの1坪当たりで最も高いチェンナイでも931~1396円と、東京圏の3500~7000円より大幅に低いことを指摘した。
(藤原秀行)