政府が対策本部会議開催、記者会見で背景など説明へ
※政府が官報で正式に宣言を告示した旨、追加しました
前の記事:【新型ウイルス】菅首相、首都圏1都3県対象に2月7日まで緊急事態宣言再発令を表明
菅義偉首相は1月7日、首相官邸で開いた新型コロナウイルスの感染対策に関する政府の対策本部会合で、感染拡大が続いている東京、神奈川、千葉、埼玉の首都圏1都3県を対象に、改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく「緊急事態宣言」を発令する意向を正式に表明した。期間は2月7日までの1カ月間。
同宣言を出すのは2020年4月に次いで2回目。政府は1月7日夜、官報で同宣言発令を正式に告示、同8日午前0時から効力を発揮する。1都3県の知事は同法にのっとって飲食店への営業時間短縮要請などを行い、感染拡大阻止に努める。
菅首相は1月7日、会合後に首相官邸で記者会見し「これ以上の感染拡大を食い止めるため、今回の緊急事態宣言を決断した。1カ月後には必ず事態を改善させる」との決意を示した。また、重症化しにくい若年層の感染拡大が全体の感染者増につながっているとの見解を示し、「世代を超えて大切な命を守るため、自身のことと捉えて行動をお願いしたい」と夜間外出自粛などへの協力を呼び掛けた。
さらに、コロナへのワクチンについて、製薬会社の開発を後押しし、2月下旬には接種を始められるようにしたいとの意向を明らかにした。
飲食店の時短要請、宅配や持ち帰りは対象外
今回の宣言では政府の基本的対処方針を踏まえ、1都3県の知事が飲食店などに午後8時までの時短営業を要請し、応じた店舗には協力金として1カ月当たり最大180万円を国から支援する。
併せて、在宅勤務の推進などで企業の出勤者数を7割減らすことを目指すとともに、大規模なイベントは「収容人数の50%」か「5000人」のいずれかを上限とするよう事業者に求める。1都3県の住民には午後8時以降の夜間に不要不急の外出は控えるよう要請する。
半面、昨年の同宣言発令時とは異なり、小中高校への一斉休校や幼稚園・保育園への一斉休園は要請しないほか、1月中に予定している大学入学共通テストや高校入試も感染対策に万全を期した上で実施することを打ち出している。飲食店も宅配や持ち帰りは時短要請の対象外とするなど、経済への影響を考えて行動制限の範囲を絞り込んでいる。
菅首相は会見で、1都3県の病院がコロナの重症者向け病床を新設した場合は約2000万円を補助するなど、医療提供体制の強化を推し進める姿勢を強調。「知事の要請があればいつでも自衛隊の(医療)チームを投入できるようにする」と語った。
また、同宣言の再発令で経済への影響は避けられない点を踏まえ、解雇せず雇用を継続した事業者を支給対象とする雇用調整助成金をより利用しやすくするなど、資金繰り支援により本腰を入れるスタンスを見せた。
会見に同席した政府の新型コロナ対策分科会の尾身茂会長は「1カ月未満で(現状より状況が改善した)『ステージ3』に近づけるのはそう簡単ではないが、しっかり頑張れば可能だ」と指摘した。
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政府の対策本部会合で発言する菅首相(首相官邸ホームページより引用・クリックで拡大)
(藤原秀行)