国交省とNEXCO中日本が再発防止へ報告書、ヘリやドローン使った迅速な現状把握など列挙
国土交通省近畿地方整備局と中日本高速道路(NEXCO中日本)は1月25日、福井県内を襲った大雪で1月9~11日に同県内の北陸自動車道と東海北陸自動車道で大量の車両が立ち往生したのを受け、検証結果と再発防止策に関する報告書を公表した。
原因として、通行止めの判断が遅れ、車両の滞留状況も正確に把握できなかったことなどを列挙。より積極的な事前広報や速やかな予防的通行止めの実施などに取り組むことを打ち出した。
並行する国道もちゅうちょなく通行止めに
報告書は事前広報について「大規模な車両滞留が発生したことを踏まえると十分と言えるものではなかった」と総括。通行止めの判断は、自力で走行できない車両が発生したものの、他の車の移動を確認できたため後続の車両が走行可能と考え、通行止めの判断を行わなかったことなどに言及した。対応として、
・短期集中的な降雪で安全な交通確保が困難と認められれば速やかに予防的通行止めを行う
・速やかに通行止めができるよう近隣事務所や支社からの応援を含む機材・人員を事前配備する
・事故や自力走行不能車両などがたびたび発生した際、車線が確保されていても渋滞の長さが伸びると予想される場合はちゅうちょなく通行止めを実施する
・交通状況、降雪状況に応じて、ちゅうちょなく並行する一般国道と同時に通行止めする
――ことなどを盛り込んだ。
渋滞状況を正確に把握できなかった点は、現場の人員が十分でなかったうえ、除雪や交通誘導などと兼務しており、途中から現場状況把握の専任担当を置いたものの、その規模も不十分だったなどと指摘。ヘリコプターやドローン(無人飛行機)の利用も悪天候で断念し、天候回復後は地上から確認作業を進めていなかったことも明らかにした。
対応として、
・複数箇所で同時滞留が起こることをあらかじめ想定し、専任で現場状況を確認できる人員を十分確保する
・スノーモービルを使って車両の滞留状況確認やドライバーへの支援物資提供を行う体制を構築する
・車線上にウェブカメラを増設する
・引き続き事前にヘリコプターを要請し、ドローンも降雪が弱まった後に活用する
――ことなどを列挙した。
他にも、県や自衛隊など関係機関への応援要請の遅れ、滞留車両のドライバーへの支援物資配布の遅れにも触れ、
・通行止めから3時間を経過した時点で自力走行不能車両を動かせない場合は迅速に国や県、自衛隊などに支援を要請する
・除雪機械に加えて人力による除雪を担う要員を事前に現場へ配置する
・支援物資の量とともに配布の人員も十分確保する
――ことを打ち出した。
中長期的な対策では、通行止めエリアの端にあるインター出口本線部に簡易の通行規制装置を整備して渋滞に車両が加わらないようにすることや、雪害対策の適切なマネジメントを担える人材を育成することなどを記している。
(藤原秀行)※イメージ写真は国交省資料より引用