今春めど、オペレーション体感で適切な機種導入サポート
マテハン機器の販売や物流ロボットの導入支援などを手掛けるフジテックスは、物流業界向けの情報発信を強化する。これまで展開している物流業界の動向などを紹介したフリーペーパーの配布や業務改善などをテーマとしたセミナー開催に加え、新たに物流ロボットのデモンストレーションが可能なセンターを自前で整備、オペレーションを顧客に体感してもらえるようにする計画だ。
物流現場は人手不足が続いている上に、新型コロナウイルスの感染拡大で過密の解消が強く求められていることもあり、今後も物流ロボットへのニーズは高まると予想。顧客がそれぞれの現場に最適な物流ロボットを導入できるよう正しい情報を提供、サポートしていく構えだ。
コロナ禍踏まえネット経由でライブ配信も準備
フジテックスは1986年設立。販促資材の販売や資源リサイクルプラントの提案などから始まり、現在は物流事業も展開。倉庫内の搬送ロボットや保管ラック、包装・梱包用機器などを物流企業や荷主企業に紹介しているほか、中古機器の販売なども手掛けている。
物流事業の一環として顧客に付加価値を提供し、製品の販売促進などにつなげるため、メディアの展開に注力。フリーペーパーは毎月、顧客の物流企業や荷主企業へ無料で配布しており、発行は約5000部に上る。中には「荷主が物流企業を変える理由」「ここまで来た!現実的に導入できる物流ロボット」といった魅力的なタイトルの記事が並んでおり、ビジネス誌のような丁寧な造りだ。日々顧客と接する中で得られた悩み事や相談などの貴重な声を生かし、実際の現場で役に立ちそうな情報を随所に盛り込んでいる。
さらに、ウェブサイト「物流倉庫プランナーズ」を運営。取り扱っている商品情報だけでなく、最近の製品開発などの潮流を踏まえた記事やコラムを更新。YouTubeに公式チャンネルも開設、動画を紹介している。
「物流倉庫プランナーズ」のウェブサイト
併せて、物流セミナーも定期的に開催。最近はコロナ禍で1カ所に大勢が集まって講師の話を聞く形式は取りづらいため、インターネット経由で公開している。外部から講師を招いて独自の経験などを披露してもらうほか、自社の担当者が業務効率化のヒントなどを説明するパターンも準備している。
物流ロボットのデモセンターは今春に首都圏で開設する方向で準備を進めており、現状では100坪程度の規模となる見込み。フジテックスが取り扱っている物流ロボットを実際に稼働させ、オペレーションを体験してもらう構想を立てている。
現在は中国のロボットメーカー、ギークプラスの「EVE」シリーズのほか、やはり中国のフォワードエックス製AMR(自動搬送ロボット)を手掛けており、国内製ではZMPの物流支援ロボット「CarriRo(キャリロ)」も紹介している。フォワードエックスのAMRはピッキング対象の商品を納めた棚の場所に移動、庫内作業スタッフが追随して商品を取り出せば作業が完了し次の場所に移動するとの流れになる。
こうしたロボットを実際に現場で見てもらうことで、より理解を深めてもらう狙いだ。一度に多くの人を集めるのは難しいため、現場に来てもらうのと並行して、物流セミナーと同じくライブ映像をネット経由で配信することも視野に入れている。
フジテックスの塩塚敬副社長は「物流ロボットは一般的に思われている以上に実用性が非常に高まっている。そのことを知っていただける場所を設けることで、お客さまの利益と効率の向上につなげていきたい」と強調。将来はデモセンターで顧客から得られた声を製品開発に生かしていくことも視野に入れているようだ。
フォワードエックス製AMR(フジテックスウェブサイトより引用・クリックで拡大)
(藤原秀行)