マッチングサイト運営のビジョナル・インキュベーション調査
M&A案件のマッチングサイト「ビズリーチ・サクシード」を運営するビジョナル・インキュベーションは2月5日、同サイトを利用しているM&Aの専門家「M&Aアドバイザー」を対象としたアンケート調査結果を公表した。
新型コロナウイルスの感染拡大で経済情勢が厳しくなるのを受けて、身売りを希望する企業が増加すると予想している割合が9割を超えるなど、M&A市場が活性化するとの見方が大勢を占めていることが分かった。
今後半年間でM&Aのニーズが増えそうな譲渡案件の業種としては、「物流・倉庫」を挙げる向きも一定数あった。同社は「今後、中小企業のM&A件数は急増し、2021年は『中小企業の事業承継M&A元年』になると予想している。現在の不確実性の高い経済環境において事業を成長させ続けるためには、経営のパートナーと出会えるM&Aを経営の選択肢とすることが必要と考える」と強調している。
調査は20年12月~今年2月に実施、M&Aアドバイザー90人から回答を得た。
「譲渡希望企業が増加」は8割超
ビズリーチ・サクシードは、事業売却を希望する企業と、買い手企業をマッチングしている。
アンケート結果によれば、今年1月以降、コロナ禍の影響を受けた企業による売却希望が増加すると予測しているM&Aアドバイザーは91%で、「そう思わない」はわずか3%だった。
コロナ禍を受けて買収希望企業に早く出会いたいと願う譲渡希望企業が増えているかどうかとの問いには「増えている」が47%、「どちらかというと増えている」が38%で合わせて8割を超えた。「どちらかというと増えていない」は10%、「増えていない」は4%だった。
21年にM&A市場が活性化すると予想しているのが81%で、「現状維持」(18%)、「活性化しない」(1%)を大きく引き離した。買収希望企業はコロナ禍のM&Aをチャンスと捉えていることが多いと感じているのかどうかについては、72%が肯定しており、「どちらでもない」(24%)、「いいえ」(3%)を大きく上回った。
コロナ禍の影響でどのような業種の譲渡案件が増えたかとの設問には(複数回答可)、「サービス」が32%で最も多く、「流通・小売り」(19%)、「IT・インターネット」(14%)、「建設」(11%)、「運輸・交通」(8%)などと続いた。「運輸・交通」の中には運送業も含まれている。
一方、今後M&Aニーズが増えそうな譲渡案件の業種は(複数回答可)、「サービス」が47%で最多。「流通・小売り」(40%)、「IT・インターネット」(37%)、「建設」(24%)、「エンターテインメント」(22%)、「運輸・交通」(21%)などと続いた。「物流・倉庫」は14%だった。
(藤原秀行)