野村不動産が今後2年間に物流施設計9棟開発、ロボットなど活用加速へ荷主や物流企業と共同プログラムも展開★続報2(完)

野村不動産が今後2年間に物流施設計9棟開発、ロボットなど活用加速へ荷主や物流企業と共同プログラムも展開★続報2(完)

千葉・習志野に導入効果検証拠点を開設、ソリューション創出目指す

※9施設の詳細などを追加しました

野村不動産は3月23日、今年4月以降の2年間で「Landport(ランドポート)」ブランドの物流施設を計9棟(総延べ床面積約11万8000坪=約38万9400平方メートル)開発すると発表した。一部公表済みの物件も含まれている。総投資額は約850億円を計画している。

同社が手掛ける開発・運用棟数は累計で39、延べ床面積は約56万坪(約184万8000平方メートル)になる見込み。新たな9棟の開発地はいずれも3大都市圏に位置し、首都圏が7棟、関西圏と中部圏で1棟ずつとなる。関西圏の内陸部で物流施設開発の需要が高まっている京都で初めてプロジェクトを展開する。9棟は今年5月から23年2月の間に順次竣工していく予定。概要は以下の通り。


(野村不動産提供)


「Landport上尾Ⅱ」の完成イメージ(野村不動産提供)

新型コロナウイルスの感染拡大に伴うeコマースの利用増もあり、同社で手掛けた物流施設は今年までに竣工した物件の全てが満床・安定稼働しているという。今後も好立地で高機能を備えた物流施設のニーズが見込めると判断、積極的な開発を継続する。

東京都内で同日、記者会見した野村不動産で物流施設開発事業を手掛ける山田譲二執行役員は「コロナ禍で経済には不安要素があるが、物流施設に関しては今後も底堅い需要が見込める」と述べ、今後も前向きに事業へ取り組む姿勢をアピールした。

同社が物流施設の付加価値向上へ取り組んでいる、ターゲットとしているテナント企業の業種特有のオペレーションに対応した施設仕様を施設の一部もしくは全体に盛り込むと同時に、将来のテナント入れ替わりに備えて汎用性も持たせている「カテゴリーマルチ型」は計4棟(施設の一部で対応するものを含む)に上る見込み。

9棟は消毒用のアルコールや化粧品、スプレー缶といった生活雑貨の取り扱いが増えているのを踏まえて危険物倉庫を併設したり、作業用の空調設備を倉庫エリアに完備して働きやすい環境の整備に努めたり、倉庫の1階に床断熱加工区間を設けて冷蔵用途にも使えるようにしたりと、さまざまな工夫を凝らす計画。

コワーキングスペースも配備

同社は併せて、物流現場の人手不足やコロナ禍に伴う密集解消の必要性の高まりを考慮し、物流施設内の自動化・省力化ニーズに応えるため、荷主企業や物流事業者、マテハンメーカーなどと連携してロボットをはじめ先進技術の導入加速を目指す共同のプログラム「Techrum(テクラム)」を今年4月に始めると発表した。機器導入にとどまらず、オペレーションの見直し提案まで踏み込みたい考え。

その一環として、自動化機器の導入効果検証のための専用拠点「習志野 PoC Hub」を千葉県習志野市の自社開発物流施設「Landport習志野」内に設ける。自動化機器のテストやソリューションの共同開発、機器のデモンストレーションなどを行うほか、企業間の定例会やセミナーを行えるコワーキングスペースも備える予定。今年9月までに参加企業を広く募る。


「Techrum」のロゴ(以下、いずれも野村不動産提供)


「Techrum」の活動イメージ


「Landport習志野」の外観


「Techrum」の内部イメージ

(藤原秀行)

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