近鉄と福山通運、今夏めどに特急列車で名古屋~大阪間の貨客混載サービス開始を正式発表

近鉄と福山通運、今夏めどに特急列車で名古屋~大阪間の貨客混載サービス開始を正式発表

工業製品・部品や日用品など対象、当日配送可能にし新たな収益源確立目指す

近畿日本鉄道と福山通運は3月29日、今年夏ごろをめどに、名古屋~大阪間を走る特急列車「アーバンライナー」の車両で貨物を輸送する貨客混載サービスを始めると正式発表した。国土交通省に対し、物流総合効率化法に基づく総合効率化計画の認定を申請する予定。

近鉄は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で旅客需要が激減、鉄道事業の経営環境が厳しいため、新たな収益源の確立を模索する。福山通運は当日配送サービスを提供、新たな需要の掘り起こしを目指す。

アーバンライナーは大阪難波駅と近鉄名古屋駅の間を1日17往復している。アーバンライナーで既に取りやめている車内販売の商品保管場所を生かし、工業製品・部品や日用品、衣料品などを運ぶ見通し。荷物の集荷や配送の部分は福山通運が手掛ける。

名古屋~大阪間の輸送はトラックのチャーター便などを使うことが多い。近鉄は既存の鉄道網を生かすことにより、当日輸送が安価で提供できるとみている。トラックドライバー不足にも対応可能と強調している。

既に佐川急便がJR北海道やJR九州とそれぞれ新幹線を使った荷物輸送の本格展開を目指すなど、貨客混載の動きが広がっている。コロナ禍で旅客需要が本格的に回復する時期が見通しにくいだけに、鉄道各社による貨客混載検討の動きはさらに拡大しそうだ。


運用フロー図(以下、いずれも近鉄プレスリリースより引用)


貨客混載のイメージ

(藤原秀行)※写真は「アーバンライナー・プラス」

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