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【好評連載】“ウィズコロナ”時代を生き抜く!「強い物流企業のつくり方」第3回

【好評連載】“ウィズコロナ”時代を生き抜く!「強い物流企業のつくり方」第3回

「高収益モデル」実現の条件

タナベ経営 土井大輔 物流経営研究会チームリーダー

新型コロナウイルスの感染拡大は物流の現場を大きく変えようとしています。密集回避へ省人化や非接触化が不可欠な“ウィズコロナ”の世界が到来している今、物流業界はどの方向に進んでいくべきなのかを真剣に考える時を迎えています。

ロジビズ・オンラインではかつてない難局を生き抜ける強い物流企業に転換していくための術を、タナベ経営の経験豊富なコンサルタント、土井大輔氏に定期的に指南していただいております。第3回はいかに「高収益モデル」の体質へ変えていくのかに焦点を当てます。


土井大輔氏(タナベ経営提供)

依存率の低減

物流業は荷主・元請けとともに成長してきた企業が多い。

損益分岐点操業度が90%の企業は10%売上が減少すると赤字になる。これは得意先依存率だけではなく扱う荷種の“事業領域依存率”である。同じ食品を扱っていても外食産業向けとスーパーなど内食(もしくは中食)産業向けでは影響度合いが全く違う。コロナ禍において、外食産業向け食品を扱っている物流会社は大打撃であったが、内食産業向けの食品を扱う物流会社は2桁増の物量であった。

しかし、物流業のような労働集約型産業は「仕事が増えれば良い」というものではない。自社の車両・人員以上の仕事量を受注すると協力会社(=傭車など)に委託することになる。単に1社依存率を指標にするのではなく、“荷種の季節需要”“荷主の事業領域”“車両積載効率”を計画的に分散させることが重要である。

ポイント:
損益分岐点操業度=固定費÷限界利益率=70%以下を目標としてほしい。
限界利益率=(売上高-変動費)÷売上高
変動費=①「燃料油脂費」②「傭車・外部委託費」③「事故賠償費」――が一般的である。

日々、車両や物流センターの稼働を優先して考えることになるのは理解できる。しかし、ビジネスモデルを変えるためには「金額」だけではなく「率=収益構造」を変えることが求められる。

以下、物流業の高収益モデルの条件を明示する。

第1の条件 選ばれる理由づくりの明確化とブランディング

業務内容が単に「運ぶだけ」「出荷するだけ」(=同質化)になってしまっているのが低収益の理由である。低収益の物流会社にヒアリングすると「他社より安い」「近い」という理由を挙げられることが多い。また、ホームページにも自社の事業を「運送事業」「倉庫事業」と打ち出している。これでは荷主の立場からするとメリットが見えにくい。

“顧客価値”での組織編制やサービスメニューの商品化、ウェブサイト・パンフレットの作成など、顧客業界・荷種・荷主の課題を「切る」「分ける」「絞る」ことで自社のポジショニングを明らかにして伝えることが必要である。

歴史とともに、ある程度顧客・荷量が安定すると「顧客に選ばれるための理由」が曖昧になり、収益力が低迷する。

第2の条件 提供サービスの独自化を創る

物流は最強のマーケティングである。メーカー側と流通側(卸・小売)の両方の情報・状況を得ることができるという“強み”に目を向けてほしい。自社でも得意先でも、経営判断をする立場の人は現場の課題を知らないことが多い。

「得意先の現場の課題を解決するサービスの創造」と「顧客の中期経営計画や財務体質改善など経営を支援するサービスの創造」が “新たな収益の種”である。情報を生かして新たなサービスの創造や自社の選ばれる理由を打ち出すことが収益に直結する。


「物流・現業事業 スキマ分析(コンサルティングの分析資料)」より一部抜粋(タナベ経営提供)

第3の条件 収益の変動と格差の解消

物流の最大の敵は“波動”である。


(タナベ経営提供)

〈B社の事例〉
倉庫会社の下請けであり、「消費者の顔」が見えなかったB社は、自社のノウハウを「検針・検品などの品質管理業務」と設定し、新規荷主の開拓に取り組んだ。2004年には1社依存率が90%を占める構成であったが、計画的・戦略的に新規荷主の獲得を進め、2年間で20%以下にまで抑えることに成功した。

その結果、今ではECフルフィルメントサービスのビジネスモデルを構築し、自社の事業コンセプト「●●価値創造企業」と掲げ、経常利益率は9%の高収益企業となった。

学ぶべきポイントは「選択と集中」である。当事例の場合は「選択=EC市場」、「集中=検針・検品などの品質管理業務を生かしたインターネット通販への営業活動」である。

“自社が選ばれる理由を“絞って勝つ、勝って広げる”

さらに、今では“アパレル業界の課題”である年間100万トン・30億点の製品廃棄に目を向け、新品在庫品を代行販売するという環境保全活動・社会貢献に繋がる新たなブランド価値を創造している。

ぜひ、安定業績づくりのために「自社の選ばれる理由」を明確にした「独自性のあるビジネスモデル」を設計し、「一気に広げる」ことで依存率を低減していただきたい。

(第4回に続く)

著者プロフィール 
土井 大輔(どい・だいすけ)
大学卒業後、システム機器商社を経て2006年タナベ経営入社。自身の実績を生かし、“新規市場の開拓”“受注型産業のビジネスモデル転換”を中心に事業戦略の構築を数多く支援。「物流が世の中を支えており、最高のマーケティング機能である」と考え、15年に物流経営研究会を立ち上げた。サプライチェーン最適化を軸とした事業戦略の構築や物流関連企業の収益力強化支援の実績を多数持つ。

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