車両や充電設備を月額リース、効率的な走行ルートの作成もサポート想定
日野自動車と関西電力は4月22日、トラックやバスなど電動商用車(EV)の導入・運用を支援する合弁会社「CUBE-LINX(キューブリンクス)」(東京都新宿区西新宿)を新設すると発表した。5月初旬をめどに設立、営業開始は2022年初めを見込む。
新会社は資本金が5億円で、日野が66・6%、関西電力が33・3%をそれぞれ担う計画。運送事業者にEVの車両や充電設備、ITシステムを月額の定額料金でリースし、導入のハードルを下げることを予定している。
併せて、車両の運行管理システムと電力消費が時間帯によって偏らないよう制御するエネルギーマネジメントシステムを組み合わせ、運送事業者の各拠点でEVを適正に充電・管理できるようサポート。電池残量を考慮した走行ルートを作成・提示するなど、効率的な配車や各車両の運用を後押しすることも想定している。
日野と関西電力は商用車の領域でEVの普及をサポートし、政府が実現を目指している、国内の二酸化炭素排出量を50年までに実質ゼロとする「カーボンニュートラル」に貢献したい考え。商用車のEV開発は乗用車ほど進んでいないが、将来の普及をにらみ、支援体制を早めに構築しておきたいとの思惑がある。
合弁会社が展開するEV導入・運用支援には、日野や関西電力以外の車両メーカーと電力小売り会社のほか、さまざまな設備メーカーやITシステムベンダーにも参加を働き掛け、ユーザーの運送事業者が車両や設備、電力会社を自由に選べるようにする。
日野から新会社のトップに就任予定の桐明幹氏は4月22日、オンラインで記者会見し、将来はタクシーや企業の営業車両などもカバーするほか、自動走行車の運行管理も担うことを視野に入れていると説明。「われわれのサービスプラットフォームに多くの企業の方々が参加していただきたい」と呼び掛けた。
合弁事業のイメージ(以下、いずれも日野自動車・関西電力プレスリリースより引用)
合弁契約を締結した(左から)日野自動車・下義生社長と関西電力・森本孝社長
(藤原秀行)