矢野経済研究所、20年度の物流市場規模を0・8%減の20兆2375億円と予測

矢野経済研究所、20年度の物流市場規模を0・8%減の20兆2375億円と予測

コロナ禍で宅配や店舗配送は堅調見込む

矢野経済研究所は5月25日、物流17業種の市場動向に関する調査結果を公表した。

物流17業種総市場規模推移と予測

※以下、プレスリリースを引用(一部、編集部で修正)

市場概況

2019年度の物流17業種総市場規模は、前年度比96・4%の20兆4050億円と推計した。国内(内需)関連では景気が好調に推移していたこともあり、産業材(生産材)に関わる産業系・輸出入関連・一般生活を支える消費材系の物流ともに堅調に推移していた。

米中貿易摩擦の影響もあって、輸出(外需)関連に力強さがなくなってきたところに、2020年初めの新型コロナウイルス感染拡大に伴い、海運・航空貨物など国際物流を担う業種に加え、国内でも荷動きが全体的にやや低調となっていたことなども影響している。

新型コロナウイルスの影響と物流業界の人手不足 ~「2024年問題」に向けた改革が急務~

コロナ禍前までは、国内景気は好調で、それを支える物流は「人手不足」という問題が常態化していた。物流業界のドライバー不足問題が社会問題として表面化し、人件費の高騰が続き、物流が国内景気の「足かせ」となってしまっていた。

そこに、新型コロナウイルスの感染拡大という事態が加わり、物流の業種(荷主)によって好不調はあるものの、荷動きが鈍化したために、一時的に人材不足の問題が結果的に緩和されたように見受けられる。ただ、一時的に課題が見えなくなっているだけで、根本的な解決に向かっているわけではない。

今後、懸念されているのは、働き方改革による影響である。労働基準法の改正により、ドライバーの人件費のさらなる高騰が考えられ、2024年までに物流費が上がってくることは確実である。物流費についての考え方を社会全体で見直す時期に来ている。

将来展望

2020年度は、新型コロナウイルスの影響を受けて輸出(外需)関連の物流業種を中心に大きなダメージを受けた。

一方、一般消費者の購買様式は、ステイホームを背景に通販や巣ごもりなどの新しい生活様式に対応した需要によって、ラストワンマイルを中心とした配送網を担う物流業種(宅配便や店舗配送など)が堅調で、2020年度の物流17業種総市場規模は、前年度比99・2%の20兆2375億円の見込みである。

調査要綱

1.調査期間: 2020年12月~2021年3月
2.調査対象: 国内有力物流事業者等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談及び、電話アンケート調査、各種統計・文献調査を併用

物流市場17業種とは

本調査における「物流17業種」とは、海運事業、3PL(サードパーティー・ロジスティクス)事業、宅配便事業(国内)、特別積合せ運送事業、普通倉庫事業、フォワーディング事業、一般港湾運送事業、冷蔵倉庫事業、引越事業、航空貨物輸送事業、鉄道利用運送事業、軽貨物輸送事業、国際宅配便事業、鉄道貨物輸送事業、トランクルームおよび周辺事業、バイク便輸送事業、納品代行事業を対象とする。

市場に含まれる商品・サービス

海運、3PL事業、宅配便、特別積合せ運送、普通倉庫、フォワーディング、一般港湾運送、冷蔵倉庫、引越、航空貨物輸送、鉄道利用運送、軽貨物運送、国際宅配便、鉄道貨物輸送、トランクルーム、バイク便輸送、納品代行

(画像はプレスリリースより引用)

(ロジビズ・オンライン編集部)

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