「時間外労働年間960時間」規制、ドライバーの4割強が収入減を懸念

「時間外労働年間960時間」規制、ドライバーの4割強が収入減を懸念

JILSが関西圏の51人対象に意識調査、待ち時間や荷役短縮に期待も

日本ロジスティクスシステム協会(JILS)は4月9日、改善基準告示の改正に伴い4月1日以降は時間外労働の上限年間960時間に規制強化されたことに関するトラックドライバーの意識調査結果(速報版)を公表した。

改善基準告示の改正について、トラックドライバーの22%が「時間外労働960時間規制」を知らなかったと回答。

上限年間960時間を12カ月で割ると1カ月当たりの上限は80時間になるが、調査時点で月80時間以上の時間外労働を行っている人は27%に達するなど、物流現場の法令順守が徹底されるかどうか不安を残した。

また、規制強化で労働時間が短縮し収入が減ることへの懸念が4割強で最も多かった一方、積み降ろしの待ち時間や荷役時間が短くなることを期待する声も3割強を占めており、現場で期待と懸念が入り混じっていることをうかがわせた。

調査は今年3月26~31日、関西圏の運送事業者3社のトラックドライバーを対象に実施、無記名でアンケート票に記入してもらう形式で51人(男性43人、女性5人、不明3人)が回答した。3社はそれぞれ従業員が33人・28人・16人、資本金は2000万円・300万円・950万円だった。

「余暇の時間増」「健康や業務の安全改善」の声も

調査によると、1カ月当たりの平均的な時間外労働(残業)を尋ねたところ、「80時間以上100時間未満」が12人で最も多く、「60時間以上80時間未満」が9人、「分からない」が8人、「10時間未満」が7人などと続いた。

規制強化による不安として最も多く選ばれたのは(複数回答可)「収入が減る」で24人だった。「忙しくなる(業務の密度が高くなる)」は14人、「業務が計画しにくくなる」は9人、「新たな職を探す必要がある」は3人などとなった。「不安はない」は16人だった。

規制強化で期待していること(複数回答可)は「積み込み先や届け先での待ち時間や荷役時間が短くなる」が17人でトップ。「余暇の時間が増える」(13人)、「自身の健康と業務の安全が改善される」(10人)、「家族や友人と過ごす時間が増える」(7人)などと続いた。同時に、「期待はない」は14人に達した。

(藤原秀行)

調査結果はコチラから(JILSウェブサイト)

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