政府が「グリーン成長戦略」見直し案、6月中に正式決定
政府の成長戦略会議は6月2日に首相官邸で開いた会合で、2050年までに日本国内からの温室効果ガス排出量を実質的にゼロまで減らす「カーボンニュートラル」の実現に向け、昨年12月に策定した「グリーン成長戦略」の見直し案をまとめた。
14の重点分野の中で物流業界との関係が深い自動車は、トラックやバスの商用車に関し、8トン未満の小型商用車は30年までに新車販売の20~30%をEV(電気自動車)やHV(ハイブリッド車)、FCV(燃料電池車)といった電動車に置き換えていく目標を新たに設定。
さらに40年までの段階で、新車の全てを電動車か、合成燃料など脱炭素燃料を用いる車両のいずれかに切り替える方向性も打ち出した。
8トン以上の大型商用車は電動車の開発・利用促進に向け技術実証を進めるとともに、20年代に5000台の先行導入を目指すと明記。併せて、水素や合成燃料などの価格低減に向けた技術開発・普及の取り組みの進捗状況を考慮し、40年時点の電動車の普及目標を30年までにまとめる方針を示した。
昨年12月の時点では、乗用車については新車販売の全てを35年までに電動車とする目標を明示していたが、商用車については今年夏までに具体策の検討を進める方針を示すのにとどまっていた。見直しに際し、より踏み込んだ目標を設けることにした。
見直し案はこのほか、30年までにEV用の充電スタンドを現状から5倍の15万基、FCV用水素供給設備は6倍の1000基程度まで増やすことなども明言している。政府は6月中に見直しの内容を正式に決める予定。
成長戦略会議。右端が菅義偉首相(首相官邸ホームページより引用)
(藤原秀行)