自動選別・凍結ライン導入し省人化・省力化、同一人員で生産量3倍に
横浜冷凍(ヨコレイ)は7月15日、宮城県気仙沼市で、新たな鮮魚の加工・保管拠点「気仙沼ソーティングスポットⅡ」が竣工したと発表した。
現在の「気仙沼ソーティングスポットⅠ」が築32年で設備の老朽化が進み、労働力不足や作業の身体的負荷の大きさなどが課題となっているため、新築に踏み切った。水揚げされた水産物の輸出強化へ生産能力拡大と衛生・品質管理の高度化が求められていることも考慮した。
冷蔵庫棟と選別棟などを合わせた延べ床面積は1万4670平方メートル、庫腹は8129トン(F級)と鮮魚置き場(C級)を備えている。凍結能力は36トンが5室でトータル180トンと同社最大規模を持たせている。
独自の試みとして、気仙沼漁港などに水揚げされるサンマ、サバ、イワシ、イサダ、カツオ、ビンチョウマグロ、ブリといった多様な魚種に対応できる自動選別・凍結ラインを導入。鮮魚を箱詰めした後の積み上げに至る一連の作業工程を自動化し、作業の省人化・省力化を実現している。従来と同じ人員数で生産量を約3倍まで高められるという。
他にも保管物の乾燥や冷凍焼け、色あせがほとんどない自然対流冷却方式を取り入れるなど、ヨコレイの先進技術を積極的に活用。電気室は高さ19メートルの最上階に配置するなど、地震・津波対策にも万全を期している。
現地で同日開催した竣工式典で、ヨコレイの吉川俊雄会長は「東日本大震災から10年を経てようやく完成した念願の施設。北部太平洋地域一体の水産業の核との位置付けになる。日本の高品質な水産物を世界へ輸出し、水産業の活性化に貢献していきたい」とあいさつした。
「気仙沼ソーティングスポットⅡ」の外観(ヨコレイ提供)
(藤原秀行)