【独自取材】CRE、物流施設事業の海外展開拡大へ布石

【独自取材】CRE、物流施設事業の海外展開拡大へ布石

ベトナムで開発・管理運営に着手、タイも事業化準備

 シーアールイー(CRE)が、物流施設事業の海外展開拡大へ布石を打っている。2018年にシンガポール政府系の有力不動産デベロッパーと連携し、ベトナムでの施設開発・賃貸に乗り出した。他にタイで事業化の準備を進めているほか、インドネシアとシンガポールも進出先として視野に入れている。

 国内の物流施設需要はeコマースを中心に堅調だが、人口減少という事実が市場の先行きに重くのしかかっている。同社は物流施設の開発だけにとどまらず、管理運営など関連するサービスを幅広く手掛けているビジネスモデルをまずはASEAN(東南アジア諸国連合)地域で早期に確立、グループの成長基盤を強固なものにしたい考えだ。

 同社のチャレンジは、日本発の高品質な物流施設が海外でも広く受け入れられていくかどうかを占う試金石の1つとなりそうだ。

好立地の工業団地内で新規開発に参画

 CREは中核事業として物流施設の管理運営を手掛け、その面積は国内で約134万坪(今年10月末時点)に上る。さらに首都圏を軸に物流施設の開発も進めており、これまでに13件が完成したほか、6件を開発中だ(同)。

 最近は北海道や九州でも開発実績を挙げた。テナント企業のリーシングやアセットマネジメントなども展開、多様なサービスを一貫提供できる体制を売りとしている。

 国内と併せてASEANでの事業展開に向け、2016年にシンガポールで現地法人「CRE Asia」(CREアジア)を設立した。このほど同社を通じて手を組んだのが、同国政府系でインフラ開発などを担うSembcorp Development」(セムコープ・デベロプメント)だ。25年以上の経験を有し、ベトナムのほかにも中国やインドネシア、インドで工業団地や商業施設、住宅などを手掛けてきた。

 CREアジアが今年、セムコープ・デベロプメント傘下のSembcorp Infra Services(セムコープ・インフラ・サービシズ)に620万ドル(約6億8000万円)で30%出資。同社の子会社を通じ、ベトナムで物流施設事業に参画することとなった。

 CRE傘下で不動産証券化事業や同社の海外事業推進などを担うストラテジック・パートナーズの水野康之社長はベトナムに照準を合わせている理由として「当社グループにとって初めての海外投資なので、ある程度安心して投資できる環境を探していた。ベトナムは安定した経済成長が続き、インフレもそんなに激しくない。人口は約9300万人で近く1億人を超える見通しの上、若い労働力も確保できることから成長余力は非常に大きい。これからも国の発展が明らかに見えているのが非常に大きかった」と解説する。

5~6年で20万平方メートル規模の開発目指す

 セムコープは1996年にベトナムで工業団地の開発を始め、14年からは「VSIPハイフォン複合都市・工業団地」で物流施設の賃貸・開発を手掛けており、現在は2棟を展開。同団地がベトナム北部最大のコンテナ港・ハイフォン港に近いことなどを追い風に、いずれもほぼ100%稼働だという。


セムコープが展開している倉庫(CRE提供)

 さらに同団地で3棟目となる延べ床面積約1万4000平方メートルの施設開発を進め、19年内の完成を見込んでいる。CREは3棟目を開発する上で、日本で培ったノウハウの提供などを通じ参画している。

 水野氏は今後の目標として「5~6年で20万平方メートルまで開発実績を重ねたい」と着実な事業展開に強い意欲を見せている。4棟目以降の開発構想も既にセムコープとの間で浮上しており、同団地内を軸に候補地の選定が進む見通し。現在、CREが同社側と協議を進めている最中だ。

 同社の亀山忠秀社長は「セムコープは工業団地の開発で実績があり、用地ソーシングも強い。当社としては全く申し分のないお相手だ。当社のノウハウと組み合わせることで、今後も優位性のある施設の開発が実現できると確信している。現地に進出される日系企業だけでなく、いずれは現地企業やグローバル企業のニーズを獲得できる可能性が高い」と大きな期待を寄せている。

 タイは同様に現地法人を構え、市場リサーチなどを続けている。亀山社長は「ベトナムの開発と同様、適切なパートナーが見つかれば事業化していきたい。ただ、ベトナムとは異なり、既に現地の物流施設市場がかなり成熟しているので、違うアプローチで新規参入していく必要がある」と指摘する。

 CREは日本で物流施設特化型のJリートのスポンサーとなるなど、自社開発した案件の出口戦略にも注力している。今後はベトナムをはじめとするASEAN地域で同様のモデルを展開し、海外投資家から関心を呼び込めるかどうかも注目されそうだ。


亀山社長(左)と水野氏

(藤原秀行)

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