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【JapanDrone】地方自治体、ドローンで物流など地域の課題解決を模索

【JapanDrone】地方自治体、ドローンで物流など地域の課題解決を模索

パネルディスカッションで担当者が活用事例報告

日本UAS産業振興協議会(JUIDA)とコングレが6月14~16日、千葉市の幕張メッセで開いたドローンの国際展示会「Japan Drone(ジャパンドローン)2021」では、パネルディスカッションとして地方自治体の担当者が参加し、率先してドローンを物流などに活用、地域の課題解決と振興につなげようとする取り組みを報告した。

パネルディスカッションは大分県商工観光労働部の遠山実新産業振興室長、兵庫県産業労働部産業振興局新産業課の香山和輝氏、三重県環境生活部の増田行信廃棄物対策局長、福島県商工労働部の鈴木章文次世代産業課長、北海道水産林務部森林環境局森林活用課の濱坂晃主任普及指導員が出席。JUIDAの鈴木真二理事長とアクセンチュア・イノベーションセンター福島センター共同統括マネジング・ディレクターの中村彰二朗氏がモデレーターを務めた。

顧客対応を一括で請け負う「コンソーシアム」結成―大分

遠山氏は、離島や過疎地への物流と災害時の救援物資配送でドローンを活用しようとプロジェクトを進めている事例を紹介。津久見市の無垢島で通常の航路に加え、2019年度からドローンで海上を往復約32キロメートル飛ばして生活物資や一般用医薬品を届け、離島の生活改善と航路維持を目指していることを紹介した。今年3月には週3回、1日4往復の定期運航による買い物支援サービスを実証実験で行った。

一方、災害時の救援物資輸送は、日田市で実施。今年1月、過去に豪雨で孤立した経験がある集落に重量物搬送が可能なドローンで救援物資と衛星電話を届ける実証実験を行った。人間が歩くと2・9キロメートル要するところをドローンが500メートルで輸送、要した時間も9分の1に抑えたという。

このほか、九州電力など4社と組み、ドローンを使った点検や林業、観光など各種サービスを展開する事業者の顧客対応を一括して請け負う「ドローンコンソーシアム」を結成したことも紹介。さらに、大分県の産業科学技術センター先端技術イノベーションラボと、情報通信研究機構ワイヤレスネットワーク総合研究センター、福島イノベーション・コースト構想推進機構福島ロボットテストフィールドが相互連携し、ドローンや滑走路が不要な「空飛ぶクルマ」の早期実用化を目指すことも示した。

鳥獣被害対策など16事業で実用化の可能性あり―兵庫

香山氏は、兵庫県と神戸市が連携して、ドローンを先行的に活用していくため、さまざまなテーマについて事業者を募集、実証実験を行う事業を19年度に始めたことを報告。これまでに防災訓練、森林調査、鳥獣被害対策、河川の現況調査など17事業について県の担当課が評価した結果、16事業で実用化の可能性があるとの認識を示したという。

具体的な活用例では、防災訓練でドローンが上空から避難を呼び掛けたり、鳥獣対策としてシカの生息状況をドローンから調べたり、営農指導の一環で農作物の生育状況を確認したり、固定翼ドローンで汚染物質の大気中濃度を測定したりしていることを引用。

鳥獣対策は従来、漁師が山中に入って糞や足跡からシカの個体数を推定していたがドローンを使い作業を効率化できたことや、営農指導で生育の悪い圃場をすぐに把握して追肥を行えるようになるなど、さまざまなメリットを享受できていることを強調した。

23年に物流で「空飛ぶクルマ」事業化目指す―三重

増田氏は、ドローンの先行的な利用として、産業廃棄物の不法投棄監視に使ってきていることを紹介。成果として作業時間を従来の4分の1、必要な人数を3分の1に抑えられたほか、危険箇所に立ち入らなくてもエリアの細部まで調査できるようになったことなどを挙げた。

その上で、三重県は新幹線の駅がないなど高速移動しにくいことが課題となっていると分析。ドローンを観光、生活が不便な地域の利便性向上、災害時の緊急支援、産業の効率化の各視点で活用しようと取り組んでおり、その一環として志摩市の離島で楽天が20年に実施したドローン配送サービスの実証実験に触れた。

さらに、垂直離発着が可能な「空飛ぶクルマ」を県としても活用できるよう産学官で連携していく方針を強調。地方自治体としては初めて、県が独自に作成した普及のロードマップで、23年に空飛ぶクルマを物流の面で、27年に乗用の面でそれぞれ事業化することを目標に掲げていると語った。空飛ぶクルマについては、大手航空会社などとも連携していくという。


21年にも楽天は三重・志摩でドローン配送を実施(同社プレスリリースより引用)

ロボットテストフィールド、物流などドローン開発の「ナショナルセンター」に―福島

鈴木氏は、福島県南相馬市の先端技術実験用施設「福島ロボットテストフィールド」(RTF)の現状について報告。5月末時点で19の企業や研究機関、大学などが研究拠点を置き、大型ドローンや空飛ぶクルマなどの実用化を目指しており、実験や試験などで2017年9月から今年4月までの間に336の活用事例を重ねてきているとプレゼンテーションした。RTF来訪者は累計で4万人を超えたという。

RTFとしても、物流用ドローンの機体安全認証や点検用ドローンの操縦技能検定などの面で支援していくことを打ち出しており、JUIDAや総務省消防庁などとの連携も進めていることをアピールした。

締めくくりとして、RTFは「国内ドローンの研究開発・制度執行のメーンプレーヤーとしての役割を担い、ナショナルセンター化を目指す」との中長期的目標に向け、前進していくことを明言した。

森林調査に投入、苗木運搬なども活用見込む―北海道

濱坂氏は、北海道の民有林におけるドローンの活用状況について言及。マンパワーがメーンだった森林調査のうち、ドローンが基礎情報収集の部分を担い、画像をAIが解析することで効率化が進んでいると指摘した。

また、森林所有者に成育状況を報告したり、災害時に被害状況を迅速につかんだりすることにも活用できるメリットをPR。今後は苗木の運搬や野鼠の殺鼠剤散布への活用が見込まれると語った。森林整備時に上空から撮った写真を使って測量する手法も説明。画像解析などに詳しい技術者の育成が課題になっており、研究機関などと連携して解決していくことに意欲を見せた。

(藤原秀行)

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