グループ主要4社トップ年末記者会見で表明
ニチレイは12月11日、東京都内の本社で、グループ主要4社のトップによる年末恒例の記者会見を開いた。席上、ニチレイの大谷邦夫社長は加工食品や低温物流など各事業の先行きに関し「大きなリスク要因は現時点では考えられない」と前向きな見方を示した。
同時に「景気にやや陰りが散見されてきている。トップラインを含めた売り上げ確保に留意していかないといけない」と指摘し、来年度(2020年3月期)に始まる次期中期経営計画の中で、世帯構造の変化を考慮した加工食品の新製品開発・販売や低温物流における人手不足対策などに引き続き注力していく姿勢を見せた。
会見する大谷社長
現中計の3年間で「安定成長を実現」
大谷氏は、今期(19年3月期)が最終年度となる現行の中期経営計画について、核の低温物流事業は「大都市圏での集荷増などで安定成長を実現した」と語り、成果に満足していることをうかがわせた。
その上で、同事業の今後の取り組みとして、労働力不足によるコスト増加への対応、欧州や中国、ASEAN(東南アジア諸国連合)における営業拡大などを挙げた。
現時点では次期中計の概要として①経営基盤強化②新たな成長ドライバーの創出③海外事業拡大④事業構造の進化⑤国連の定めた「SDGs(持続可能な開発目標)」を含む社会課題解決――が軸になるとの見通しを明らかにした。
このうち、⑤の具体例として、トレーサビリティー(生産履歴の追跡)が確実な原料のみ調達することや、共同配送を広げて環境負荷軽減を進めることなどに取り組み、サプライチェーンをより改善していく方向性を列挙。併せて、人権に関する基本方針の設定などにも意欲をのぞかせた。
会見には冷凍食品などを手掛けるニチレイフーズの大櫛顕也社長、水産・畜産事業を担うニチレイフレッシュの金子義史社長、低温物流事業を展開するニチレイロジグループ本社の梅澤一彦社長も参加。人手不足をにらんで各事業領域で業務効率化を促進するほか、新商品創出や海外展開加速にも取り組む姿勢を強調した。
会見に臨む(左から)大櫛氏、大谷氏、金子氏、梅澤氏
(藤原秀行)