スキャンディット調査、現場でスキャナーアプリ搭載のスマホ活用は5割強に
バーコードなどの高速・高精度読み取り技術を手掛けるスイスのスタートアップ企業Scandit(スキャンディット)はこのほど、世界の大手郵便・物流業者118社を対象に2021年3~4月実施した北米エリアと欧州エリアのラストワンマイル配送の実態に関する調査結果を公表した。
この中で北米エリアに関しては、運輸事業者の37・8%が適正な資格を持つトラックドライバー不足を課題に挙げ、最も多かったことが分かった。ラストワンマイルの配送業務最適化が24・4%、配送需要が急増した場合に対応できるキャパシティの確保が22・2%などと続いた。
欧州エリアはラストワンマイルの最適化が55・4%で最多。続いてコスト削減で50・0%だった。北米エリアの配送事業者が日本と同じく、ドライバーの不足に悩まされている実態が浮かび上がった。
一方、ドライバーが配送現場で使っている主なデバイスは北米エリア全体でスキャナーのアプリを搭載したスマートフォンが53・9%、ハンディターミナルが46・1%となり、スマホをスキャナーとして活用するケースが増えていることをうかがわせた。
スマホを使っていると回答した人にスマホを採用した理由を尋ねたところ、「新規機能の追加が可能」が48・4%でトップ。続いて「総所有コスト(TCO)削減」が41・9%、「UX(ユーザーエクスペリエンス=従業員の業務への満足度)と効率化の向上」が37・1%などとなった。
Scanditのサミュエル・ミューラーCEO(最高経営責任者)は「(新型コロナウイルスの)パンデミック(大規模感染拡大)後の世界でも、eコマースはラストワンマイル配送の主なシェアであり続けるだろう。物流企業が行っている現在のテクノロジー投資は、近い将来的に新しい従業員の採用、スケールアップやピーク時の需要への対応をシームレスに行うことを可能にし、競合他社に対する決定的な優位性をもたらしてくれるだろう」と説明。ラストワンマイルの業務最適化への投資が重要との見解を示した。
(藤原秀行)