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【独自取材】「スマホを高速・高精度スキャナー化で日本のラストワンマイル配送効率化に貢献」

【独自取材】「スマホを高速・高精度スキャナー化で日本のラストワンマイル配送効率化に貢献」

スイス発技術系スタートアップ・スキャンディット、アジア太平洋地域事業責任者が意欲

※デイビス氏の役職名を修正しました

バーコードなどの高速・高精度読み取り技術を手掛けるスイスのスタートアップ企業Scandit(スキャンディット)でアジア・太平洋地域 事業統括 バイス・プレジデントのポール・デイビス氏はこのほど、ロジビズ・オンラインの単独インタビューに応じた。

同社の技術は、スマホやタブレット端末などカメラを搭載しているデバイスにアプリを取り入れることで、バーコードリーダーなど専用機器並みのスキャンが可能になるのが特徴。

デイビス氏は2009年の創業以来、自社の技術を世界の小売や物流・運輸、アパレル、製造業など1000社以上が導入、現場で活用していると説明。日本もアジアで初めて設立した営業拠点の日本法人を核に、小売業や物流・運輸業をメーンターゲットにスキャン技術の利用を働き掛けていることを明らかにした。

その一環として、ドライバー不足や新型コロナウイルスの感染拡大に伴うeコマース市場成長による荷物量増加への対応を迫られている物流事業者に技術を提供することで、ラストワンマイル配送や倉庫内作業の効率化に貢献できると解説。ヤマト運輸や佐川急便、日本郵便の宅配大手3社と日本通運をはじめ、大手物流企業にスキャン技術を使った業務効率化のソリューション採用を積極的に提案していく姿勢を強調した。

また、航空や鉄道といった領域でも採用できるとみて、日本でアピールしていきたいとの考えを見せた。


デイビス氏(スキャンディット提供)

配達の作業時間を55%削減

スキャンディットはスイスのチューリッヒ工科大と米国のマサチューセッツ工科大の博士号を持つメンバーが創設。作業現場の照明が暗かったり、ラベルが破損していたりしても情報を正確に読み取ることができる技術力の高さが特徴。AR(拡張現実)と組み合わせ、バーコードを読み取った商品の画像の上に商品名を表示して作業ミスを防ぐなどの活用方法も生み出している。

在庫管理や入出荷、セルフレジなどの用途で採用され、米国のセブン-イレブンや百貨店のメイシーズ、フェデックス、欧州の物流企業ヘルメスなど欧米を中心に導入事例が広がっている。

デイビス氏は、21年春にスキャンディットが世界の大手物流企業などを対象に実施した調査結果で、北米エリアのラストワンマイル配送はドライバー不足が課題とする回答が37・8%で最も多かったことや、配送現場でドライバーがスキャナーのアプリを入れたスマートフォンを使っている割合が5割を超えたことを引用。「ドライバーは従来のようなスキャナーなど持ち運ぶハードウエアを減らすことができる。新しい機能を簡単にスマホへ追加できるのも人気の高まりにつながっている。運用などトータルで見たコストが低いのも無視できない」と分析した。


スキャンディットの技術活用イメージ。スマホやタブレット端末で荷物や棚の商品に付けられている複数のバーコードを一括して読み取ったり、ARで画像の上にメッセージを表示して作業をやりやすくしたりすることが可能(同社提供)

欧米でスキャンディットのスキャン技術を取り入れ、成果を上げた実例として、フランスの郵政公社ラ・ポストで小包の配達に1万9000台のスマホを取り入れたところ、作業時間を55%削減できたことなどを紹介。北米と同じくトラックドライバー不足に悩む日本でも、スキャナーのアプリを搭載しているスマホが業務効率化や省力化につながるとの見解を表明した。

その上で「日本は当社にとって非常に魅力的なマーケット。スマホの浸透率も高い。(欧米などの)市場の間に壁はないと考えている」と強調。「過去12カ月間の日本の営業活動は満足行く結果を残してきた」と語り、日本でも同社のスキャン技術が受け入れられる素地が十分あると自信を見せた。

ラストワンマイルの運送事業者に加え、倉庫内の仕分け業務などにも同社のスキャン技術を活用できるとアピール。スキャンの技術にとどまらず、今後はARやOCR(光学式文字読み取り)などの技術と組み合わせ、より高度な業務効率化のソリューションを顧客に提案していくことに強い意欲を見せた。

インタビューには、マイクロソフト日本法人などを経てスキャンディットの日本事業責任者を務める関根正浩氏も同席した。関根氏は日本法人設立時に表明した今後3年間で100社の契約獲得との目標に関し「これまでのところ、達成するのに十分なお客様を獲得できている。われわれがターゲットとする業界の中での主要企業とも関係の構築が進んでいる」と自信をのぞかせた。

イオンリテールがセルフレジにスキャンディットのスキャン技術を活用したり、ディスカウントスーパーのオーケーが店舗のオペレーション効率化と負荷軽減に技術を導入したりと、小売業で採用が広がっていることに言及。併せてターゲットとしている物流・運輸についても「コロナ禍で例年より荷物の物量が増しており、事業者の間では早く対応していかないといけないという切羽詰まった感じもある。当社の新しいイノベーションを受け入れていただける土壌があると感じている」と語った。


関根氏(スキャンディット提供)

(藤原秀行)

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