自動倉庫導入、コンシューマーセンターなども設置
資生堂は9月17日、プレステージスキンケア製品の生産・物流を担う「サプライチェーン拠点」として、昨年12月に竣工した大阪府茨木市の「大阪茨木工場」と「西日本物流センター」が新機能を追加して本格的に稼働を開始すると発表した。消費者対応を担うコンシューマーセンターと一般向け見学コースの機能も備えた、新しいコンセプトのサプライチェーン拠点と位置付けている。
資生堂は「世界で勝てる日本発のグローバルビューティーカンパニー」を目指し、中長期経営戦略「WIN 2023 and Beyond」に沿って抜本的な経営改革を実行。2030年までにスキンビューティー領域における世界ナンバーワンの企業になることを目指し、21~23年の主要戦略として「高収益構造への転換」「スキンビューティーへの注力」「成長基盤の再構築」を掲げている。
新拠点では「高収益構造への転換」で生産性向上、「スキンビューティーへの注力」で生産体制強化、「成長基盤の再構築」でサステナビリティを意識した生産供給体制の整備をそれぞれ果たした。
新拠点は、生産を担う工場に資生堂として初めて物流センターを併設。生産から輸送に至る作業効率を高め、輸送のコストや環境負荷を軽減する。地域に開かれた工場として一般のユーザー向けの見学コースと、ユーザーの声をものづくりに生かすためのコンシューマーセンターの分室を新たに設置。大阪茨木工場は同社のスキンビューティー領域の生産をグローバルでリードする計画だ。
一方、西日本物流センターは、大阪茨木工場の他に同社の国内工場で生産された商品を保管、全国7カ所の出荷センターへ供給する物流機能(物流センター)と、関西エリアを中心とした近隣のリテーラーに商品を配送する出荷機能(商品センター)を担当。資生堂が自社で運営する統合型の物流センターで、主な特徴として下記のようなものを備えている。
※以下、プレスリリースより引用(一部、編集部で修正)
工場と倉庫の一体化によるサプライチェーンの構築
国内最大規模の商品保管自動倉庫を介し、隣接する大阪茨木工場で生産された商品の入庫を自動化することで、作業の効率化を図った。また工場、物流センター、商品センターの機能を集約することにより、効率的なサプライチェーンを構築し、市場への商品供給リードタイムの短縮と輸送コストの削減が可能となった。
世界初の出荷システム導入による徹底的な省人化を実現
資生堂独自の機能を追加した次世代型マルチシャトルに製函・封函の自動化も加えることで、商品のピッキングから梱包と荷札のラベリングまで同時に行う歩行レスの出荷システムGP3(Goods to Person for Pick and Pack)を採用。物流センターの4階と3階の2階層にわたって稼働し、高い出荷能力を有する、効率化を最大限に追求した世界初の出荷システム。荷積み(パレタイジング)や荷下ろし(デパレタイズ)の自動化など、徹底的な省人化を実現し、効率的に製品を市場に届ける設備を持つ。
同社は中長期経営戦略の下、生産拠点戦略はグローバルな視点でサプライチェーン戦略の構築を進めており、原価だけでなく、リードタイムや在庫、原材料調達など様々な要素を加味。各工場で柔軟に対応できる体制づくりを目指している。また、IoTやAIなどの最新技術を取り入れた最先端工場を目指すと同時に、働く人が誇りを持って快適に働ける場とすることで、業界をリードできるモノづくりの体制を構築していく。
またアフターコロナを見据えた、将来予想される国内外の化粧品需要拡大に対応するため、19年の那須工場、今回の大阪茨木工場に続き、福岡久留米工場(福岡県久留米市)が22年度上期に稼働開始の予定。
新拠点の概要
住所 | 大阪府茨木市彩都もえぎ1-4-1 |
土地面積 | 72,435平方メートル |
建築概要 | 地上7階(鉄骨造) |
投資規模 | 約635億円 |
工場機能(名称) | 大阪茨木工場 |
生産品目 | 国内外向けプレステージスキンケア製品 |
生産能力 | 年間約1億6,000万個 (2023年以降) |
稼働開始 | 2020年12月21日 |
物流機能(名称) | 西日本物流センター(WDC) |
配送範囲 | 西日本エリアを中心 |
保管能力 | 33,000パレット |
稼働開始 | 2021年3月1日 |
(画像はプレスリリースより引用)
(ロジビズ・オンライン編集部)