安全管理規程違反が多数、「スタフ閉塞式」実施せず
国土交通省中部運輸局鉄道部は10月20日、岐阜県大垣市で貨物鉄道を運営する西濃鉄道に対し、保安監査の結果、安全管理体制などに改善を要する事項が認められたとして、鉄道事業法に基づき、改善措置を講じるよう指示した。
同部が同日発表したところによると、同社の安全管理体制の実態が、安全管理規程で定めている組織体制と一致せず、管理者が同規程で定めている責務を果たしていないほか、鉄道係員の人材育成なども同規程通りに行われておらず安全管理業務に関するスキルが不十分であることを確認したという。
具体的には、整備基準値を超えた箇所について必要な整備を実施していなかったり、本線の巡視は「4日に1回以上実施」と定めているのに順守していなかったり、駅で駅長らが出発合図をせず、機関士も合図がないのに出発したりしていた。輸送障害が3件起きていたが同部に届け出ていなかった。
また、運行に際しては、スタフと呼ぶ通行票を持つ列車以外は特定の駅区間(閉塞区間)に入れないようにして事故を防ぐ「スタフ閉塞式」を採用していることになっているが、実際には2005年4月ごろから今年4月12日まで、ほとんど実施していなかったことも明らかにになった。スタフ閉塞式を行っていないとの情報が同部ホームページに寄せられていたという。
同部は11月22日までに講じた措置を報告するよう求めている。
西濃鉄道は1927年会社設立。大垣市西北部の金生山で産出する石灰石の輸送を担っている。セイノーホールディングスや西濃運輸とは資本関係がなく、別会社。
(藤原秀行)