総当たり計算より4000倍速く正確に列挙可能
日本パレットレンタル(JPR)と群馬大学は10月21日、データベースに登録した多数の輸送ルートの中から高効率の共同輸送の組み合わせを瞬時に計算、提案できるマッチング技術を開発したと発表した。
JPRが同日、提供を開始した異業種間でも対応可能なAI活用の共用輸送マッチングサービス「TranOpt」(トランオプト)に新技術を採用している。
両者は2019 年10月から2021年3月の間、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)「Connected Industries 推進のための協調領域データ共有・AI システム開発促進事業」の助成を受け、マッチング技術の研究を進めてきた。
数学分野で知られる「距離の公理」など、背後に潜む不等式をうまく活用し、正確さを犠牲にすることなく探索する範囲を絞り込めるようにした。1台のトラックで3本の輸送を逐次的に処理する「三角輸送」、3本の輸送を混載して同時に運ぶ「混載輸送」に対応し、効率性が高く協力することでメリットが得られる輸送ルートの組み合わせを瞬時に提示することが可能という。
匿名化した約1万7000本の輸送データを使い、効率が良い三角輸送と混載輸送を列挙する実験を実施。その結果、指定する条件によって応答時間は変わるが、単純に総当たりで計算する場合に比べて、三角輸送の探索は4000倍、混載輸送の探索の場合は1500倍速く条件を満たす組み合わせを正確に列挙することができたという。
両者は新技術を生かせば1ユーザーからの複数のマッチング依頼や、複数ユーザーからの相次ぐマッチング依頼にも瞬時に応答できるようになると期待している。
(JPRプレスリリースより引用)
(藤原秀行)