日立物流西日本の倉庫火災受け、東日本から代替で製品出荷の動き広がる

日立物流西日本の倉庫火災受け、東日本から代替で製品出荷の動き広がる

医薬品メーカーなど、納品に遅れの可能性も

大阪市此花区の日立物流西日本の倉庫で11月29日に火災が発生したのを受け、倉庫を利用している医薬品メーカーなどの間で、西日本エリアの顧客に対して東日本の物流拠点から代替で製品を出荷する動きが広がっている。ただ、輸送距離が通常より伸びることなどから納品までのリードタイムに遅れが生じる可能性が出ている。

火災は1日経過しても鎮火に至っておらず、既に3万平方メートル程度が焼けたもよう。まだ内部の状況は明らかになっていないが、在庫している医薬品などは厳しい状況に陥っている公算が大きく、各メーカーは追加生産などの対応に追われそうだ。

日本調剤は倉庫の一部を子会社の日本ジェネリックが西日本物流センターとして活用、製品・商品保管などを日立物流西日本に委託している。日本調剤は11月29日、製品や商品の被災状況は調査中で、被害があった場合に保険が適用される見込みと説明した。

キョーリン製薬ホールディングスも傘下の杏林製薬とキョーリンリメディオの製品などを倉庫に委託保管している。キョーリン製薬ホールディングスは11月30日、被災状況は調査中だが「現在把握している在庫の保管状況から、製品供給には大きな影響はないと考えている」と開示した。西日本エリアでの製品などの出荷は、杏林製薬が埼玉県加須市の日立物流東日本の拠点内に設けている、東日本をカバーしている物流拠点「東日本配送センター」が代替で担うと強調している。

シスメックスも倉庫に商品保管などを委託しており、11月30日に被害状況などを公表。倉庫への立ち入りができないため、室温保管試薬、消耗品といった保管委託商品の被害状況はまだ同日午後5時現在で確認できていないという。

一方、機器や冷蔵・冷凍保管商品、保守部品は別の物流拠点に保管しているため、影響は受けないと言及。「在庫品の被害に伴い、一時的な納期遅延が発生する可能性があるが、生産活動への影響はないため、生産計画の前倒しなど商品供給の安定化に努める」と訴えた。

LTLファーマは倉庫火災を受け、取引先などに対し「当面の間、関西物流センターからの特約店卸への出荷は困難な状況」と発表した。一方、埼玉県久喜市の関東物流センターからの特約店卸への出荷は従来通り続いているという。

同社は12月6日以降、関東物流センターから西日本エリアへ出荷できるよう準備を進めていると報告。その際、リードタイムはおおむね1~2日程度遅れることが想定され、製品によっては納品が数日遅れる可能性があると話している。

医薬品の領域以外でも、住友電気工業の子会社、住友電工ハードメタルが倉庫に製品保管を委託している。住友電気工業は11月30日、製品出荷への影響を最小限に抑えるため、千葉県柏市の「東日本ロジスティックセンター」から同日、順次出荷の振り替えを進める方針を表明した。

(藤原秀行)

災害/事故/不祥事カテゴリの最新記事