大阪市の日立物流西日本倉庫火災現場報告
大阪市此花区の人工島・舞洲の日立物流西日本倉庫で11月29日朝に発生した火災は、5日余りが過ぎた12月4日夕にようやく鎮火した。
大阪市消防局によると、建物の約3万8700平方メートルが焼損。人的被害は1人が煙を吸い込んで軽症だったものの、死者や重症者がないのが不幸中の幸いだったが、同倉庫に業務を委託していた医薬品メーカーなどは出荷停止を強いられたり、別の倉庫からの出荷を急きょ強いられたりと物流に大きな影響を受けた。
ロジビズ・オンラインは鎮火直前の12月4日午後、現場の倉庫を訪れた。外壁には焼け焦げ、黒煙が立ち上った跡があちこちに残り、遠目からでも確認できた。炎や煙の勢いを物語っており、ひとたび燃え始めると被害が大きくなりがちな倉庫火災の恐ろしさをあらためて見せつけられた。
鎮火した日立物流西日本の倉庫
倉庫は2006年に竣工した「GLP舞洲Ⅱ」を日立物流西日本が利用している。現在保有しているJリートのGLP投資法人のウェブサイトによると、地上6階建て、賃貸可能面積は約5万6500平方メートル。
舞洲エリアは物流施設が多く立ち並んでおり、当該倉庫はアスクルのセンターやプロロジスが開発した物流施設が隣接。周辺にはニッスイ物流、山九、横浜冷凍(ヨコレイ)なども拠点を構えている。また、近くには室内競技場「おおきにアリーナ舞洲」があるほか、野球場なども整備されており、休日にはスポーツを楽しむ多くの人が詰め掛けている。
倉庫の周辺は警察が立ち入りを規制しているため、建物自体に立ち寄ることはできなかったが、少し離れた場所から見ても下層階と上層階の両方で焼けた形跡を確認することが可能で、その爪痕の激しさから保管していた医薬品や食料品などが絶望的な状況に陥っていることがうかがえる。倉庫の近くを通る人がその無残な姿に驚き、盛んにスマートフォンで写真を撮影していた。
あちこちに見られる炎や黒煙の跡
ひしゃげた壁面
大阪市消防局が公開した写真を見ても、火災発生後、倉庫から激しい黒煙が上がっている様子がうかがえる。隣接するアスクルの物流センターは火災で庫内に従業員や車両が入ることができなくなり、一時出荷をストップすることを余儀なくされた。
当該倉庫との距離の近さなどを現地で見ると、周辺の倉庫で延焼を恐れて出荷を続けようとする動きがあったとしても理解できなくはないが、それはあまりに危険な行為で、無理に出荷作業を続けなかったアスクルの判断が正しかったと感じさせられた。
今後の当該倉庫の取り扱いについては、鎮火してから間もないこともあり、まだ日立物流西日本は正式にコメントしていない。ただ、倉庫の建物自体は外観を見ただけでも壊滅的な状況になっていることが容易に推察され、建て替えを強いられる公算が大きそうだ。日立物流西日本は物流業務を受託している医薬品メーカーなどと協議しながら、別の倉庫スペース確保を急ぐとみられる。
右はアスクルの物流センター。延焼がなかったのが不幸中の幸いだった
11月29日の消火活動の様子。激しく煙が噴き出している(大阪市ホームページより引用)
(藤原秀行)