ニチレイ・大櫛社長、冷凍食品などの需要は今後も伸びると期待

ニチレイ・大櫛社長、冷凍食品などの需要は今後も伸びると期待

ロジ・梅澤社長は「2024年問題」対応に意欲

ニチレイは12月7日、同社を含むグループの主要事業会社4社のトップによるオンライン記者会見を開催した。

ニチレイの大櫛顕也社長は、原材料価格高騰などに伴って商品の値上げが広がり個人消費の先行きを懸念する声が産業界などから出ていることについて「食品はどうしても日々の生活の中で必要になってくるので、消費者から(値上げへの)一定のご理解はいただけると思う。消費量自体は減ることがないので、価格改定の幅にもよるが(需要の)大きな落ち込みはあまり想定していない」と説明。主力の冷凍食品などの利用は今後も伸びていくとの前向きな見方を示した。


ニチレイ・大櫛社長(同社提供)

低温物流を手掛けるニチレイロジグループ本社の梅澤一彦社長は、2022年度以降の方針として、24年からトラックドライバーの時間外労働規制が強化される「2024年問題」への対応に注力する意向を表明。1人のドライバーで長い距離を運ぶのが難しくなるのを踏まえ、従来は保管がメーンだった冷凍・冷蔵拠点を配送に使って拠点を分散化したり、長距離輸送の中間地点でドライバーが交代する中継物流を増やしたりしてカバーする考えを示した。

梅澤氏は「物流の1次ベンダーとして、運べなくなるリスクの解消に向け、集中的に取り組むとともに、荷主企業の運んでもらえないリスクへのソリューションを提供することで、当社グループの不可欠性を高める機会にしていきたい」との決意を見せた。

また、欧州で21年中の稼働を予定していた新たな倉庫3棟に関し、世界的な資材不足などが響いて工事が遅れていることを明らかにした。当初は今年10月の竣工を見込んでいたフランス・リヨンの増設倉庫が12月にようやく稼働を始めたほか、オランダのロッテルダム港湾マースフラクタ地区の増設倉庫は今年7月の竣工を目指していたが12月中の稼働スタートに変更していると説明。フランス・ルアーブルの増設倉庫も従来予定していた12月の稼働開始が22年1月にずれ込む見通しを提示した。

梅澤社長は倉庫3棟の竣工遅れについて「現時点で業績への影響は軽微にとどまる見込み」と報告。買収したアイルランドの低温物流会社ノリッシュなども活用し、欧州事業の基盤をさらに強化していくことに強い意欲をのぞかせた。


ニチレイロジグループ本社・梅澤社長(ニチレイ提供)

冷凍食品やレトルト食品などの加工食品を担うニチレイフーズの竹永雅彦社長は「国内消費の拡大とともに引き続き冷凍食品の売り上げ拡大が続くことが予想される。同時に、供給サイドやサプライチェーンのほころびがあらわになった」と指摘。一例としてタイでコロナ感染が広がってチキン工場が稼働できず、商品供給が滞ったことを踏まえ、同工場で自動化・省人化を進め、サプライチェーンの再構築に取り組んでいることを提示した。

水産・畜産品を取り扱うニチレイフレッシュの田邉弥社長は「調達から販売までのサプライチェーンを構築している自社加工製品で、今後も安定的な販売を目指す」と意気込みを語った。

(藤原秀行)

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