ドローンと宅配ロボット連携の自動配達実験「非常に安定した稼働」

ドローンと宅配ロボット連携の自動配達実験「非常に安定した稼働」

日本郵便など関係者が手応え強調、早期実用化に意欲

東京都奥多摩町でドローンと宅配ロボットを組み合わせた郵便物の自動配達実験に臨んだ日本郵便などの関係者は12月20日、現地で実験の公開終了後、メディアの取材に応じ、実験で安定した運用を確認できたなどと成果を強調。実用化に向けて手応えを感じたことをアピールした。

奥多摩町の師岡伸公町長は「物流の具体的な実証実験が私どもの町で行われて大変ありがたい。高齢者の1人住まいで、買い物に非常に苦労されている方もいらっしゃる。暮らしを少しでも支えられれば、ということで協力いただいた。感謝している」と述べ、自動配達が住民サービス向上につながると期待を示した。

日本郵便の小池信也常務執行役員は「非常に安定した稼働ができたと思っている。(少子高齢化の進展などで)先端技術を使った、人手に頼らない取り組みが非常に重要になってくると思うので、実証実験を繰り返しながら実用化に向けて引き続き取り組みを深めていきたい」と意欲をのぞかせた。

併せて、「まだドローンの飛行やロボットの走行に慣れていない地域も多いので、引き続きわれわれとしても理解いただけるような活動は続けていきたい」と語り、住民への自動配達の意義の説明などに注力する姿勢を見せた。

ドローンを手掛けるACSLの鷲谷聡之社長兼COO(最高執行責任者)は「山間地域で飛行する上では、電波が重要になる。今回の実験は飛行を制御する上でLTE(携帯電話用高速通信)の電波網を使って制御、状態監視をしているが、連続運用をしていく中でさまざまな課題を消し込んでいって、しっかりと運用できる体制に持ってこれたのは1つの大きな成果と考えている」と説明。

政府が2022年度中に有人地帯での目視外飛行「レベル4」を解禁する方向で準備を進めていることを踏まえ、安定・安全な飛行をより追求していくスタンスをアピールした。

宅配ロボットを担当するZMPの谷口恒社長は「(別途宅配ロボットの実証実験を行ってきた)都市部は高層マンションが立ち並び、歩道と車道がきれいに整備されている。こちらはその区別がないところなので、新しい技術的チャレンジができた。坂もかなりたくさんあり、問題なく稼働するということで、技術的なところに関しては全てクリアできたのではないかと思っている」と満足感をにじませた。

併せて、雨や雪の際に安定して走行できるかについても確認していきたいと言及。「夜間に配達して、それが住民の方の見回りにもなるような、いろんな波及効果も含めて次はチャレンジしてみたい」と話した。


メディアの取材に応じる(左から)日本郵便・小池氏、奥多摩町長・諸岡氏、ACSL・鷲谷氏、ZMP・谷口氏

(藤原秀行)

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