伊勢新名物・赤福の「白餅黒餅」が空を飛んだ日

伊勢新名物・赤福の「白餅黒餅」が空を飛んだ日

トルビズオン、ドローンが観光地の店舗中庭から自動飛行で商品配送する実証実験

ドローンの安全飛行支援を手掛けるトルビズオンは2月28日、ほめちぎるドローン教習所、赤福などと連携し、三重県伊勢市で2月22日にドローンを使用した商品の輸送実証実験を行ったと発表した。

同市なども協力し、伊勢の伝統的な和菓子メーカー、赤福の新商品「白餅黒餅」を無事空輸した。

実証実験ではドローン輸送の社会実装の可能性について、主に以下の観点から検証を行った。

・ドローンによる商品配送の需要
・DID地区周辺での飛行時における通信環境の確認
・三重県および伊勢市におけるデジタル社会推進へのフィードバック

離陸地点は人口集中地区(DID=Densely Inhabited District)に該当しており、実験は「観光地にある店舗の中庭から出発し自動飛行で目的地へ商品を届ける」という、全国的にもほとんど例を見ない試みとなった。

そのため、近隣住民・店舗、観光客へのリスク最小化を目的とし以下の対応を行った。

・一般非公開とし事前に周知しないことで実験当日の無用な混乱を避ける
・飛行ルートにおける国土交通省・三重県・伊勢市の管理課への事前・事後の説明・手続き対応
・飛行ルート周辺自治会への事前・事後の説明
・事前に設定したルートを自動飛行しパイロット2名が連携し目視飛行を継続緊急時に手動操縦でバックアップ
・監視員3名が飛行ルート途中の道路・橋の歩行者の往来を確認・無線でパイロットと共有、飛行前の風速確認

トルビズオンなどは政府が人口密集地上空でのドローンの目視外飛行「レベル4」を2022年度中に解禁する準備を進めているのを踏まえ、地方におけるドローン物流の実用化に向け、引き続き検証を進める。

※以下、プレスリリースより引用(一部、編集部で修正)

実証実験の概要

日時:2022年2月22日(火)6:30~10:00
場所:三重県伊勢市 赤福五十鈴川店~県営陸上競技場
離陸場所:赤福五十鈴川店 (〒516-0026 三重県伊勢市宇治浦田1丁目11−5)
着陸場所:県営陸上競技場補助グラウンド (〒516-0023 三重県伊勢市宇治館町510)
実験内容:
赤福「白餅黒餅」を輸送用ドローンで目的地まで輸送する。 ※飛行ルートは下図参照
使用機体:DJI Matrice300RTK 改(輸送BOXを取り付け輸送用機体として改造)
搬送重量:約1.8kg(白餅黒餅(8個入り)4箱)
搬送距離:約1.2km
飛行条件:天候:晴れ
気温 9℃
離陸前最大風速 3.0m/s  
最大高度 65m
運航速度 3m/s(10.8km/h)


離陸地点(赤福五十鈴川店)


着陸地点(県営陸上競技場補助グラウンド)

検証結果

DID地区周辺での飛行時における通信環境の確認

離陸地点と着陸地点にパイロットを2名配置、自動飛行⇒着陸の精度を上げるためGNSSの測位を補正するD-RTK2モバイルユニットを赤福店舗前に設置。
D-RTK2ユニットの通信距離は仕様上2km(障害物や電波干渉がない状態)となっているが、離陸地点と着陸地点の2点間の直線距離約500mの間に木々やフェンスなどの遮蔽物が多く、D-RTK2ユニットと送信機の接続がうまくいかず着陸地点の座標が2m弱ずれたため、パイロットの手動操縦で補正し無事着陸した。

三重県および伊勢市におけるデジタル社会推進へのフィードバック

前述のとおりハード面の課題はあったが、パイロット・監視員の連携で安全に実証実験を完遂、当初目的を達成できた。
また、他県の事例よりも日常生活に近い環境下で検証ができたため、今回で得られた知見を三重県および伊勢市が推進するデジタル社会推進事業にフィードバックし、レベル4(人口集中地区・目視外飛行)解禁に合わせてドローン輸送の社会実装を推進する。

(画像はトルビズオン提供)
(ロジビズ・オンライン編集部)

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