ウイングアーク1stや鈴与、トランコムなど出資のtraevo、運送事業者や荷主が幅広く参加可能な車両動態管理サービスのトライアルを開始

ウイングアーク1stや鈴与、トランコムなど出資のtraevo、運送事業者や荷主が幅広く参加可能な車両動態管理サービスのトライアルを開始

9月から本サービス提供、異なるメーカーの既存車載器も活用可能

運送事業者や車載機器メーカーなど12の企業・団体が出資したtraevo(トラエボ、東京都港区六本木)は4月13日、トラックなど車両の動態管理サービス「traevo」の無料トライアルを同日、開始したと発表した。本格的なサービスの提供は9月1日にスタートする。

traevoは今年1月、ウイングアーク1st、鈴与、トランコム、トランストロン、矢崎エナジーシステム、首都圏ホールディングス、三興物流、茨城乳配、グローバルワイズ、データ・テック、物流企画サポートの11社と、物流業界の業務効率化に取り組む一般社団法人運輸デジタルビジネス協議会(TDBC)が出資して発足した。

traevoのサービスは、車両に搭載しているデジタルタコグラフやドライブレコーダー、GPS端末などのデータを収集し、運行管理者が車両ごとの現在地や走行状態を把握できるようにすることで輸送経路の最適化や管理業務の効率化につなげられると見込む。

異なるメーカーの機器同士でもデータを共有できるのが特徴で、既存の動態管理システムとも連携が可能。運送事業者だけでなく、着・発荷主も使えるよう配慮している。


traevoの企業ロゴマーク(以下、いずれもtraevoなど提供)


サービスの概要

TDBCでトラックドライバー不足や業務のデジタル化の遅れなどの課題を克服するため、多様な運送事業者と連携し、様々な業種・業態で使えるオープンな動態管理システムの構築を目指して議論を重ねてきた。

鈴与カーゴネットやトランコムなど52社と共同で実証実験も展開。商用化のめどが立ったため、TDBCなどが軸となってtraevoを設立、サービス提供に踏み切った。

traevoは今後3年間で運送事業に使われているトラックの約14%に相当する20万台の車両と連携し、サービスをインフラとして普及させることを目指す。将来は災害時の状況把握や支援物資輸送にも活用できるようにするほか、ドライブレコーダーの映像と連携させて警察の防犯活動に協力したり、共同輸送時に参加している荷主ごとのCO2排出量を精緻に算出できるようにしたりすることなども視野に入れている。

オンラインで同日、記者会見したTDBCの小島薫代表理事は「データをうまく使うことで物流の効率化、強靭化に貢献できるのではないかと考えている」と説明。政府が推し進めている、車両や倉庫といったインフラや入出荷などのデータを関係事業者が共有、業務の大幅な効率化を図る「フィジカルインターネット」の実現にも寄与できるとの見方を示した。


小島氏

ウイングアーク1st出身でtraevo社長に就任した鈴木久夫氏は「事業者は今回新しく生み出したプラットフォームに対応した車載機器を使っておられる限り、追加の機器を購入する必要がなく、余分な追加のコストが発生しないのがメリットの1つになると思う」と強調した。


鈴木氏

会見に同席した東京都トラック協会の遠藤啓二常務理事は「物流業界に貢献しながら、しっかりと利益を出し、持続可能な会社にしていただければ幸いだ。非常に期待している」とtraevoにエールを贈った。

traevoへの出資者を代表して、トランコムの上林亮取締役専務執行役員は「各社の垣根を越えてデータが共有できる、非常に画期的な取り組み。遅れている物流業界のDX推進に拍車が掛かると期待している」と述べた。

同じく出資した首都圏ホールディングスの駒形友章代表取締役は「様々なトラック車両がプラットフォームに接続することでわれわれの業務の生産性が上がり、ひいては日本の産業競争力の向上に貢献できれば、と思っている」と新サービスの利用拡大に期待をのぞかせた。


記念撮影に応じる関係者
(後列右から)グローバルワイズ・伊原栄一代表取締役、鈴与カーゴネット・澤入哲雄常務取締役、トランコム・上林亮取締役専務執行役員、首都圏ホールディングス・駒形友章代表取締役、三興物流・杉江秀樹社長、データ・テック・菅原悟常務取締役、traevo・中土井利行取締役 
(前列右から)トランストロン・酒井健二情報サービス部門副部門長、一般社団法人運輸デジタルビジネス協議会・小島薫代表理事、traevo・鈴木久夫社長、ウイングアーク1st・田中潤社長執行役員CEO(最高経営責任者)、矢崎エナジーシステム・松尾昌則計装営業統括部事業企画部長 

(藤原秀行)

テクノロジー/製品カテゴリの最新記事