山間部での重労働・荷物運搬代行を想定
「空飛ぶクルマ」や物流用ドローンの開発を手掛けるスタートアップのSkyDriveは5月18日、物流ドローンの新サービス「SkyLift Plus(スカイリフトプラス)」を始めると発表した。
併せて、同社が開発する物流用ドローン「SkyLift」のアンバサダー(大使)として、アルピニストの野口健氏が就任した。
SkyLiftは1回の飛行で30キログラムの重量物を運搬できる。着陸せずにどこでも荷下ろしできるホイスト機能を備え、山間部など地形的に自動車やクレーン、ヘリコプターの活用が難しい場所や、災害時で道路が使用できない場合など高低差運搬を中心とした場所やシーンで活用できるのが特徴。
全⾧1.9メートル×全幅1.2メートル×全高1.0メートルとコンパクトサイズに抑え、利用希望の場所までワンボックスカーで簡単に運搬することが可能。タッチパネルのシンプルな操作で行先を設定すれば自動運転で重量物を運べるのがメリット。
国内ドローンメーカーとして、日本で初めて、航空・宇宙及び防衛分野の品質マネジメントシステム「JIS Q 9100:2016」認証を取得済み。オリジナルのカーゴバッグと組み合わせることにより、航空局から塗料やガソリンなど危険物輸送の飛行許可を取得した実績もあるという。
新サービスはSkyLiftを使い、運用に関わる各種業務を同社がワンストップで実施、現場での荷物運搬作業などを後押しする。現地調査や飛行ルートの設計などを包括的に企画し、所管の国土交通省への飛行許可申請書類の作成・交渉代行を担うとともに、同社が提携している経験豊富なパイロットを派遣する。
物流ドローン運航ノウハウ確立のサポートも同時に行うため、将来的にユーザー自身が物流ドローンを運航できるようになると強調している。
同社では以前からSkyLiftをサブスクリプション契約で販売してきた。「現場で活用したいが、運用ノウハウがないため導入が進めにくい」「パイロットの手配が自社では難しい」といったユーザーの声を踏まえ、包括的に支援する新たなサービスを開発した。
SkyLiftの活用で山間部を中心とした危険作業の回避、人員削減、時間短縮ができるようになり、日本の人口減少による労働力不足への対応と労働生産性の向上に貢献できると想定。SkyLiftはバッテリー(電動)を燃料とし、政府が目指す2050年までに温室効果ガスの排出量を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」の時代に向けて、世界の山を知り尽くし、積極的に環境保残活動をされている野口氏とタッグを組み、SkyLiftの活用気運を盛り上げ、脱炭素社会にも貢献していきたい考えだ。
(藤原秀行)※写真などはいずれもSkyDrive提供