帝国データ調査、「上海港より南通市へのシフト検討」の声も
帝国データバンク(TDB)は5月18日、中国政府が実施している上海のロックダウン(都市封鎖)などの「ゼロコロナ政策」が日本企業に及ぼす影響についてアンケート調査結果を公表した。
中国のロックダウンによって、企業活動に「マイナスの影響がある」と答えた割合が全体の半数近くに上った。業界別では卸売業、製造業が特に多く、運輸・倉庫業も5割近くに到達。幅広い業界がネガティブな影響を受けている実態が浮かび上がった。
調査は1653社が有効回答を寄せた。
中国が行うロックダウンなどの行動制限によって、企業活動にどのような影響があるかを尋ねたところ、「既にマイナスの影響がある」は35.5%、「今後マイナスの影響が出る見込み」は12.9%だった。合計すると48.4%で、「影響はない」の33.8%を上回った。
「分からない」は15.4%、「既にプラスの影響」は1.5%、「今後プラスの影響」は1.0%だった。
業界別に「既にマイナスの影響がある」と「今後マイナスの影響が出る見込み」を合わせた割合を見ると、卸売業が最も多く60.2%、次いで製造業が57.7%、小売業が49.5%、運輸・倉庫業は48.9%などとなった。
影響の大きい卸売業と製造業を詳しく見たところ、「化学品製造」(73.8%)、「機械・器具卸売」(66.4%)、「鉄鋼・非鉄・鉱業」(62.6%)、「機械製造」(56.6%)といった業種で特に悪影響が目立った。
(いずれもTDB提供)
具体的な回答としては「客先で使用する部品が入ってこないため、当社への注文品も5月分全てキャンセルされた」(ガス・石油機器製造、群馬)など、中国からの機械関連などの部品や原材料の入荷の遅れが企業活動に直接的のみならず、間接的にもマイナスの影響を与えているとの声が多く聞かれた。
運輸・倉庫業からも「国際物流を生業としているが、特に上海は輸出・輸入ともに重要な港であるため、影響は避けられない。貨物の滞留がここまで長引くとは想像しておらず、上海港より南通市へのシフトも考えているほど影響が大きい」(港湾運送、大阪)と苦悩する声が出ていた。
(藤原秀行)