キリングループロジスティクス、物流の全体的な処理能力9%向上へ

キリングループロジスティクス、物流の全体的な処理能力9%向上へ

新中計で表明、「対応力」強化し取扱物量拡大カバー

 キリングループロジスティクス(KGL)は1月23日、東京都内の本社で2019年度(1~12月)から3年間を対象とする新たな中期経営計画の説明会を開催した。

 ベースカーゴとなっているキリングループ商品の取扱物量は今後も継続して増えていくと想定している一方、トラックドライバー不足やコストアップなどへの対応が不可欠となっている状況を踏まえ、東名阪を核とした拠点増設や新たな保管設備への投資、トラックの増強などを進める方針を表明。具体的な目標として、出荷や商品輸送などの全体的な処理能力を18年実績から対象期間中に9%高めることを打ち出した。

 業績の定量目標は連結売上高を18年度の705億円から最終の21年度に約1割増の774億円まで引き上げることなどを盛り込んだ。外販(単体ベース)は18年の185億円から21年度には189億円まで積み上げることを目指す。

 説明会に参加したKGLの戸叶弘社長は、昨年夏に災害頻発や猛暑の影響でビール・飲料などの輸送量が急増、物流現場が混乱した経験を踏まえ、「(物流基盤強化へ)しかるべきところに投資をしていく。19年度はある程度利益率が下がってもがまんをし、力を入れるべきところに注力し、再び業績を上げていく」と決意を語った。

 併せて、グループ企業や協力物流会社も含めて働きやすさを感じることが可能な職場環境を再構築していくことに強い意欲を示した。


説明会に臨む戸叶社長

営業利益率1%程度キープし必要な投資継続

 戸叶社長は16~18年度を対象とした前中計について、売上高はキリングループの販売実績回復と外販拡大が奏功し、最終年度目標の695億円を超える705億円を達成した半面、営業利益は昨年夏の物流混乱に伴う関連コスト高騰が収益を圧迫し、目標の10億円に対して7億円にとどまったと説明。

 外販拡大といった中計に盛り込んだ課題はほぼ実践できたとの見方を示すと同時に「事業基盤の『物流対応力』に課題が生じ、利益にも大きな影響が出ている」との問題意識を明らかにした。

 こうした成果と反省を基に、新中計は「『運びきる力』を向上させる3年間」をビジョンに設定。高品質なサービスをより進化させてキリングループの製品を確実に顧客へ届けるとともに、前中計と同様に外販拡大を図る方針を堅持した。併せて、パートナーの物流企業との連携を引き続き重視する構えを見せた。

 全体的処理能力の9%向上に関し、戸叶社長は「最初の19年度に5%、残る2年間はそれぞれ2%ずつと想定している」と述べ、初年度で集中的に投資していく意向を表明した。

 また、営業利益率が1%程度となっている現状に関し「現実的に(拠点整備などに)費用を掛けていかないと仕事をこなしきれない。売り上げは伸ばしつつも、このくらいの利益率でキープしないと現実的に仕事を回しきれなくなる。このレベル感がぎりぎりくらい」と指摘。今後も業務効率化や事業基盤強化に一定の投資を継続していく必要性を強調した。

拠点の積み込み待機時間削減に注力

 物流業界で問題となっているドライバーの長時間拘束を解消するため、18年に導入した新たなWMS(倉庫管理システム)「MOSES」の機能を活用し、今年春以降に拠点内の作業指示をより柔軟に出せるようにして積み込みの待機時間削減を図っていく計画を明らかにした。さらに、配車管理やトラックの事前受け付け、構内誘導を一体的に行えるシステムを構築し、拠点内の作業効率化を進める考えも示した。

 新中計では併せて、より働きやすい職場を整備するため、さまざまな改革を推進。具体的には高卒の新卒者を採用して安定的に人材を確保できるよう努めるほか、特定の地域内で転勤なしに働くことが可能な「ブロック社員制」を導入することなどを検討していく方向だ。

(藤原秀行)

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