旭食品と日立、需要予測型自動発注システムで欠品4割削減に成功

旭食品と日立、需要予測型自動発注システムで欠品4割削減に成功

国内35カ所に導入し効果検証、作業時間は8分の1に短縮

加工食品や冷凍食品などの卸売業を行う旭食品と日立製作所は6月8日、国内35カ所の物流倉庫における発注業務に対し、2021年9月に独自のアルゴリズムで需要を予測、適正在庫量を勘案して発注推奨値を算出・提示するシステムの稼働を開始したと発表した。

旭食品がシステムを導入した結果、以前は複数の熟練担当者が1人で1日当たり約4時間を要していた発注内容を判断するための調査やチェックなどの業務を約30分に短縮。欠品を約4割、返品を最大約3割低減できたという。

システムは、総合スーパーや大手小売店に導入実績のある日立の「Hitachi Digital Solution for Retail/需要予測型自動発注サービス」を活用した。


需要予測型自動発注システムの概要(プレスリリースより引用)

卸売業は日々発生する小売店からの注文に対し不足なく商品を出荷できるよう、かつ物流拠点(倉庫)の在庫量を調整しながらメーカーに商品を発注する。旧来は熟練担当者が、過去の発注・返品・在庫量や天候、イベント情報などの複雑な条件を考慮して需要を予測した上で、経験・ノウハウを基に発注・在庫管理を行ってきたが、作業が煩雑な上、人に依存する部分が多く、デジタル技術を活用した業務革新が求められている。

旭食品はコンビニエンスストアへ商品を出荷する国内35カ所の物流拠点で、600アイテムに関する発注・在庫管理業務を日々行っていた。日立のシステムを採用し、需要予測と在庫管理を連携させてデータを統合することにより、需要・在庫状況に即し、欠品・返品によるロスを抑え利益最大化となる発注量を自動計算。各拠点でアイテムごとの発注推奨値がシステムから勧告されるため、人が行う作業は発注量の確認と決定のみになった。

各個人が外部のWebサイトから手作業でダウンロードしていた得意先公開の受注速報値や気象データ(天候・気温)などのデータ収集作業は、Webクローリング技術により自動化。サブスクリプション型で拠点数に基づいた料金で利用可能になっている。

今回のシステムと日立の統合物流管理システム「HITLUSTER(ヒットラスター)」を組み合わせれば、在庫の一元管理を可能にし、これまで担当者が複数のシステムやツールを使って行っていたデータ収集・作成・入力といった事務作業を排除するなど、在庫管理業務そのものの自動化も実現できるとみている。

旭食品はAI発注をDX化の一部と捉え、需要予測の導入拠点数を増やし、入荷・需要を事前に予測することでオリコン(折り畳みコンテナ)とトラック積載効率の向上やシステムでの配車によるコスト削減を図るとともに、資源や排気ガスの抑制に努める。

(藤原秀行)

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