共同検討開始、エタノール原料の技術活用
コスモ石油と三井物産は7月28日、国内での持続可能な航空燃料(SAF)製造事業の実現に向けた共同検討を開始すると発表した。
コスモ石油の石油精製事業で培ったプラントの安定操業、ジェット燃料の品質管理、物流実績と三井物産のエタノール調達機能を組み合わせることで、安定したSAFのサプライチェーン構築と事業創出の実現を目指す。
三井物産が出資する米国LanzaJet(ランザジェット)が開発した、アルコール(エタノール)を原料に触媒反応を通じてSAFを製造する技術で、高効率で大規模SAF生産に優位性を持つAlcohol to Jet(ATJ)技術を用いてコスモ石油の製油所での国産SAFの大規模生産を図る。
SAFは航空業界のCO2削減の切り札として世界的に急速な需要拡大が見込まれる中、海外を中心に商業生産が進められている。日本でも政府が2030年に航空燃料使用量の10%をSAFに置き換えるとの目標を掲げ、官民連携して実現に取り組んでいる。
目標達成にはSAFの大規模生産と安定供給の実現が不可欠なため、コスモ石油と三井物産は今回の事業を通じて2027年度までに年産22万キロリットルの国産SAF製造、供給を目指す。同時に副産物として生成されるリニューアブルディーゼル年産2万キロリットルについても、空港内の輸送機やトラック・重機などを対象に販売を検討する。
ATJ技術に関しては、ランザジェットがSAF製造デモプラントを米ジョージア州で建設している。
プロジェクトのイメージ(コスモ石油、三井物産提供)
(藤原秀行)