楽天グループ・向井氏、一定規模以上の自治体では採算合致と展望
楽天グループでドローンや自動配送ロボット(UGV)の活用に取り組む向井秀明ドローン・UGV事業部ジェネラルマネージャーは5月26日、茨城県つくば市で同社と西友、パナソニックホールディングス(HD)の3社が、UGVが公道を走行し商品を宅配するサービスのデモンストレーションをメディアに公開するのに際し、同市内で記者会見した。
向井氏は、これまでにも実施してきたUGVによる商品配送の経験を踏まえ、つくば市では取り扱う商品数やサービス利用可能な世帯のエリアを大幅に広げ、生産食品や冷凍食品も運べるようにするなど、より実用化を念頭に置いてサービス展開すると狙いを説明。
「これから少子高齢化で運ぶ担い手は減る一方、配送ニーズはどんどん増え、運ぶコストが上昇していく。最終的には人よりも安く運べる、深夜でも気兼ねなくオーダーできる、そういった新たなロボットならではの利便性を提供できるようにしていきたい。どんどん改善していきながら、人間が運ぶより安価で場合によっては便利な配送サービスを作るのが大きなミッションだ」とアピールした。
会見する向井氏
つくば市内をデモで走行するUGV
今後の取り組みについては、4月に公道を通行するロボット宅配を可能にする改正道路交通法が国会で可決、成立したことも踏まえ「安全性の担保や証明はこれからも続けなければいけない。改正法施行前にこういったサービスを提供して安全性を証明した上でより広範囲に展開していきたい」と説明。
「サービスの進め方についても、1店舗から多くのお客様に届けるだけでなく、飲食店や様々な小売店も含めて、街の配送ニーズにロボットを多く生かせるような社会を将来目指していきたい」と語った。
また、「サービス開始当初は採算が合わない状態での運用になるが、遠隔監視する台数を増やしたり、機体を量産化したりと様々な努力でコストが見合えば、ある一定の人口密度があればしっかり採算が合うだろうと考えている」との考え方を示した。
会見に同席したパナソニックHDの東島勝義モビリティソリューション部長は、今回の配送に投入する同社グループ製UGVに関し「万が一システムが不安定になっても絶対に止まる。自由度を持ってこうした配送サービスに溶け込み、それでいて(周囲の人や物に)ぶつからないロボットだ」と説明。パナソニックグループとしてもロボット宅配の実現に注力していく姿勢をアピールした。
会見する東島氏
(藤原秀行)