青果仲卸の大治などと連携、物流の効率化など推進へ
食品包装資材大手エフピコグループで農産パック・農産フィルムなど⻘果物資材を手掛けるエフピコチューパは8月26日、青果仲卸の大治(だいはる)が設立した東京の大田市場変革に関する協議会「大田市場活用型有機農産物新流通プロジェクト」に外部専門員として参画すると発表した。
プロジェクトは農林水産省の食品等流通合理化計画の認定を受けた後、8月8日に公益財団法人食品等流通合理化促進機構から「ポストコロナを見据えたサプライチェーンの緊急対策事業(補助事業)」の採択を受けた。エフピコチューバは大治やプロジェクトに参加しているメンバーと協力し、国内の有機農業の発展と物流の合理化、販売促進に貢献することを目指す。
多くの有機生産者は生産規模が小さいため1回当たりの出荷量が少ない一方、仕入れ側も小規模の有機専門店が多く、少量の注文になりがちなため、宅配便による物流が中心。慣行栽培の農産物に比べて物流コストが割高になるため、消費者が購入しにくい状況に陥っているのが課題だ。
また、消費者が有機農産物を買い求める場所としてスーパーマーケットを想定している半面、生産者は有機専門業者や消費者への直接販売をイメージしており、消費者が買いたい場所で販売されていないというミスマッチが起きていると考えられるという。
有機農産物の普及をさらに推し進めるためには、低迷しがちな慣行栽培の農産物の価格についても合わせて見直す必要がある。エフピコチューバは「需要と供給のバランスで価格が決定される市場流通を見直しつつ、新たな仕組みを取り入れるべき時期にあると思われる」と指摘している。
3つの課題を同時に解決することが、有機農産物の普及拡大につながり、農水省が「みどりの食料システム戦略」で目標として掲げる「2050年までに耕地面積に占める有機農業の取組面積を25%に拡大」の実現に貢献できるとみている。
物流面については、有機農産物を宅配便ではなく大田市場までのトラック物流を活用することでコストを適正化し、解決を図る。既に一部の地域について大治は、農水省の「持続可能な食糧生産・消費のための円卓会議」の有機作業部会に参画し、物流の効率化を促進。遠隔地からは大型トラックを利用した大動脈的な一括物流、関東近県からは新聞配達の物流を利用した毛細血管的な物流の構築を計画している。
また、大田市場に集まってきた有機農産物を食品スーパーや小売店に幅広く取り扱ってもらい、消費者が有機農産物をより身近に感じることができる環境を構築することも目指す。生産者と企業をマッチングし、農業体験を通じたスタッフの福利厚生と収穫物を活用した様々な社会貢献活動やSDGsの取り組みを同時に実現ししていくことも検討している。
9月16日から開催される「第7回オーガニックライフスタイルEXPO2022」で、プロジェクトのキックオフ会議を実施、本格的に始動させる。
(藤原秀行)