豊田通商、名古屋港で自動車運搬船向けバイオディーゼル燃料を供給

豊田通商、名古屋港で自動車運搬船向けバイオディーゼル燃料を供給

海運領域の温室効果ガス削減に寄与目指す

豊田通商は9月12日、傘下の豊通エネルギーが、トヨフジ海運が運航する自動車運搬船向けに、名古屋港でShip to Ship方式による舶用バイオディーゼル燃料の供給を、7月26日と8月3日に実施したと発表した。

今回の取り組みは、令和3年度国土交通省関係補正予算の「内航カーボンニュートラルの推進に向けた調査」の一環として行われた。低硫黄C重油とバイオ燃料の配合燃料を内航船向けに供給したのは国内で初めて。

日本政府は2030年までに温室効果ガス排出量を13年比で46%削減、50年までにカーボンニュートラル(排出量実質ゼロ)を実現することを表明。内航海運分野における30年までの排出削減目標は13年比で約17%(約181万トン)と設定されており、船舶燃料を石油由来の重油や軽油から代替燃料に転換することを推進している。船舶向けには中長期的に水素やアンモニアが期待されているが、多額の投資や技術開発などを伴うため、足元の脱炭素燃料としてバイオ燃料が有望視されている。

豊田通商グループは21年4月に、シンガポール港で初めてバイオ燃料の運航実証を実施したのを手始めに、同年6月には同港で外航船向けにバイオ燃料の供給を行った。さらに、今年4月には国内で初めて、港内を運航するタグボート向けに供給するなど、バイオ燃料による船舶の代替燃料転換の取り組みに注力している。

今回は、取扱貨物量が国内最大の名古屋港で自動車運搬を行う内航船に向けバイオ燃料の供給トライアルを展開。バイオ燃料の有効性を検討するとともに、内航海運における脱炭素化を図る狙いがある。

今回使ったバイオ燃料は、豊田通商がダイセキ環境ソリューションと連携し、一部は国内のトヨタグループや豊田通商グループ企業から回収した廃食油を原料としたもので、地産地消によるサプライチェーン構築を通じてサーキュラーエコノミー(循環型経済)にも資するとみている。

豊田通商は船舶の既存の内燃機関にそのまま使用可能な脱炭素燃料のバイオ燃料に関し、国内でサプライチェーンおよび常時利用が確立されれば、海運業界のカーボンニュートラル推進に向けた一助になると期待している。


左からバイオ燃料の供給を受ける自動車運搬船「とよふじ丸」(トヨフジ海運)と供給を行う燃料供給船「尚山」(豊田通商)(ぷれすプレスリリースより引用)

(藤原秀行)

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