株主総会決議取り消し訴訟を取り上げ
乾汽船は9月16日、同社株を保有してきた投資会社のアルファレオホールディングスが乾汽船の定時株主総会で決議した買収防衛策導入決定の決議を取り消すよう求めていた訴訟に関し、アルファレオが取り下げたと発表した。
アルファレオは訴訟で、2019年6月の定時株主総会で乾康之社長ら取締役5人選任や買収防衛策導入など同社提出の4議案を全て可決した一方、アルファレオが提出したとみられる、配当額を乾汽船の提示額から上積みするよう求めた緊急動議を否決したことを取り消すよう要求。
また、20年6月の定時株主総会で同じく乾汽船側が提出、可決したアルファレオ側に経営状況などの情報提供を要請することなど3議案を取り消すよう求めていた。いずれも1審の東京地裁、2審の東京高裁でアルファレオが敗訴し、アルファレオが一部を不服として最高裁に上告していた。
乾汽船によれば、9月8日付でアルファレオが上告を取り下げ、9月15日に書面が乾汽船に届いたという。乾汽船は「株主総会決議取り消し訴訟は終結した」と説明している。
アルファレオは乾汽船の監査役解任を求めた訴訟なども敗訴した。乾汽船とのやり取りなどを説明していたウェブサイトも現在は閉鎖したとみられ、乾汽船との法廷闘争からは撤退したもようだ。9月16日時点でアルファレオは上告取り下げについて公式にコメントしていない。
アルファレオは一時、グループで約3割の乾汽船株式を保有していたが、アルファレオが関東財務局に提出した変更報告書によれば、今年3月24日時点で4.37%まで低下していた。現時点で乾汽船株式をどの程度保有しているかは不明。乾汽船は「当事業年度(2021年度)末現在では主要株主ではなくなった」と説明している。
20年6月の乾汽船定時株主総会会場
(藤原秀行)